2003-01-01から1年間の記事一覧
聖夜劇 天使の子らの髪赭し髪黒し やがて神うとみだす 塚本邦雄クリスマスの特集に死児の齢を量る所業を。 白玉書房版「塚本邦雄歌集」 目もつぶれよとばかりの鮮やかなグリーンの、それ以降の豪華な装幀を想像もできない禁欲的でシンプルな造本。しかしなが…
あの頃、1冊1冊、1年おきくらいに刊行される新刊を、御馳走を食べるように賞味していた日々を思い出します。「やぶにらみの時計」から「なめくじ長屋シリーズ」「退職刑事」まで、すべての作品が自分にとっては最高の作家でした。手元にほとんどの作品が…
学研M文庫から悪魔学大全Ⅱ「降霊魔術」ASIN405904007X 光文社から都筑道夫コレクション《初期作品集》「女を逃がすな」ASIN4334736076 同じく光文社文庫江戸川乱歩全集第12巻「悪魔の紋章」文庫とはいえ、3冊も新刊を手にするのは久し振り。「降霊魔術」…
自分にとって“人に貸した本は返ってこない”の見本だった森開社版「火」が帰ってきた。発行からもうすでに30年経ってしまったそれは、ユルスナルと多田智満子の白水社版「ハドリアヌス帝の回想」以来の著譯のコンビネーションに野中ユリの瀟洒な装訂という…
http://www.artrenewal.org/index.htmlアンテナの方に登録しようとするとこのアドレスを認識してくれないので、こちらで紹介することにした。欧州19世紀の公的サロン系を中心に綺麗綺麗な作品が大量に。しかも画像がおおきい。収録画家数が2645名、画像266…
桃源社の復刻版さえ、絶版となって久しい稀覯書、酒井潔の「愛の魔術」が「悪魔学大全Ⅰ」として学研M文庫から復活した。70年を越える時代を経ての復活である。洋の東西、時代の新古をとわず収集された、珍奇のコレクションのお目見え。 すべからく読者は…
告知だけしておいて、報告もないのもなんなので。不完全レポートを掲載します。 書物の要件はまず、読むというテキスト性である。読めればよいという条件を立ち上げた上で、さらに、活字(印字された文字として)、本文用紙、表紙、さらに装飾、保護材として…
いつものように検索をしていてとんでもないものにぶつかった、勿論知っている人には周知のことなのだろうが。 年初に話題だった、ロットナンバーが生々しいブルトンの遺産の売り立て目録。どういう意図なのか、とにかく詳細で分かりやすいなリストと、添えら…
現在刊行中の光文社文庫版「江戸川乱歩全集」。 画期的な校訂と詳細な注釈で話題だが、その装幀も見事です。 そのお仕事をなさっている間村俊一氏の装幀展が開かれるのだが、その催しのイヴェントになんとあの「ですぺら」の一考さんが登場。 知る人ぞ知る詩…
八重洲ブックセンターへちくま文庫版ジュリアン・グラック「シルトの岸辺」を買いに行ったついでに、1Fの幻想・ミステリコーナーを覗く。 おきまりのコースで、そこでほとんど買い物をする事はないのだが、分厚い新刊が自分を呼んでいた。副題が「『ユビュ…
再放送は残念ながら見逃してしまったが、みなもと太郎「ホモホモ7」番組掲示板のおかげで、復活した完全版入手。自分の中であまりにも強烈だったので何度も同じギャグを読んだつもりだったが、例の鼻血は一回だけだったのだなぁ。連載当時はギャグだった“昭…
真田啓介さんの「P・G・ウッドハウス邦訳書誌」http://www1.speednet.ne.jp/~ed-fuji/X2-wodehouse.htmlを拝見して、眠りかけていた“ウッドハウス熱”が再発した。 自分のユーモア文學好きの源泉は、怪奇・幻想ものと共に中学校の図書館にあった東京創元社の…
著者たちが思い立って14年、増補版まで30年余。翻訳が着手してから完成まで5年。この広大な書物の何がこの人たちをそこまで駆り立てるのだろうか。 辞典にはそれ自体が持つ、拾い集めた事実の集積が多ければ多いほど、ある瞬間とてつもないナンセンスの…
過日、某酒房で同席した際、こんな話を聞いた。あんまり嬉しいのでご本人の了解を得て、ここに書きます。 ずっと前、浅暮さんが、広告業だった6畳一間にすんでいた頃の話。 仕事から、疲れてかえったら1匹のネコが紛れ込んでいたそうな。なんともかわいそ…
開巻一読、書を置く能わず。 古くさい言い回しだが、これが、この本を読み終わった瞬間の感想。 当時人氣のアラビアン・ナイトの幻想世界を、才気煥発のストーリー・テリングと絢爛たる修辞でもって再現した作品。いわば、ゴシック・ロマンの掉尾を飾る名作…
日本人信徒発見のエピソードで知られるプチジャン師ほど有名ではないが、素天堂にとっては幕末明治における大改変期に重要な役割を担っていたひと、ド・ロ神父の評伝「神父ド・ロの冒険」を注文しておいたものの引取りに。 店内を一回り、「妖精の輪の中で」…
9月2日付「朝日新聞」の海外コラムでロワール川の名城「シャンボール城」で部屋の床が抜ける事件が起きた。観光客40人が巻き込まれ、何人かは、下の部屋まで落下したとか。 500年たてば、万能の天才「レオナルド」の神通力も薄れてしまうかもしれない…
先日、関容子「日本の鶯 堀口大学聞書き」入手。 まるで、詩人との相聞のような全体の流れと、最初の頃の緊張が緩やかに解けてゆく流れが心地よく、ゆっくりと詩人の全体像がそうして現前してくるのがドキドキするようなスリルが。渋る老詩人に決して理詰め…
ここのところ、年来の探求本が次々手元に入ってくるのでちょっと紹介。 とくに国民文庫版ペーター「享楽主義者メイリアス上・下」特に下は併載の、メレディスの処女作ゴシックロマン「シャグパットの毛剃」が大好きなので。(これについては後ほど詳述) 同…
昨日からNHK衛星第2放送で、30年近い大昔のシリーズ「未来への遺産」再放送がはじまっています。 内田善美の、ページ数を感じさせない大きさを持った小品「時への航海誌」はこの放送から想を得たと云ってもいいのだと思います。 壮大な発想と大胆な仮…