2005-01-01から1年間の記事一覧

コミック・マーケットという魅力、について(報告)

波瀾万丈の一ヶ月(年)が終わって、夏につづいてコミケット会場に売り手として入場するという経験を味わうことができた。 それは生まれて初めて経験した、二種類の作業進行を同時進行させる、“これってなに”状態から始まった。期限を切られた状況で、資料の…

冬コミに向けて コピー誌の発行

なんだか調子づいて、素天堂の大昔の散文詩をコピー誌で発表することにした。 タイトルは「怪人達」表紙はユリウス・クリンガーの「ソドム」から。挿絵はお気に入り、ゲルダ・ヴェゲナーのエロチックな作品から。内容の薄さをイラストでカバーする約三十ペー…

コミケット69 正式出展のお知らせ

12月30日金曜日 西地区 ま-33-b に素天堂が出展します。前回はプヒプヒさんのご厚意で、スペースをお借りしましたが、今回は初めての正式出品です。 新刊は「黒死館逍遙 第二号」。今回の内容は黒死館資料編として、大正時代の雑誌「変態心理」からの新…

中文版「黒死館殺人事件」ISBN:9574504166 http://www.wisknow.com/version/book/index.php?view=query_C&book_id=LM040

降矢木,一個神秘、充滿謎團的家族,居住在神奈川縣一棟滿溢妖異氛圍、被稱為「鄢死館」的西式城堡中。/ 該家族多年前便發生過幾起令人不解的命案,最後皆不了了之。這次,悲劇再度發生,鄢死館中的丹尼伯格夫人不幸愈害,屍體竟然還綻放出聖潔光芒,恰似被…

乱歩全集の思い出

思い出と称して、何にも書いてなかったことを思い出したものの、妙に時間がなくて結局1週間がたってしまった。勿論思い出といったって二十面相にさらわれたこともなく、小林少年と一緒に車のトランクに乗って悪者を追いかけたこともない。変哲もない本好き…

時間旅行 「探偵小説四十年」と乱歩の思い出(仮)

石井春生さんのお誘いで、推理作家協会「土曜サロン」の傍聴者として、十一月十九日、八木昇氏による標記の講演を拝聴することができた。石井さんのお話では、前日までお話を渋っていた由にも拘わらず、たくさんの貴重な資料を示しながらの熱弁であった。さ…

哲学者としての執事 月長石 (創元推理文庫 109-1)

とりあえずと買ったときにもうヨボヨボだった。カバーもない裸本。 買ったからといってそうそう読める分量ではない。なにしろ創元推理文庫で七七〇ページ。あの「黒死館」を包含する大冊、日本探偵小説全集第六巻「小栗虫太郎集」を軽く凌駕する分量にビビっ…

足を引っ張る 

ミーハー・ファンでしかなかった素天堂に声がかけられ、年譜と目録の編纂の手伝いを呼びかけられたときには、手元にはあったものといえば、かすかに残る思い出くらいが財産だった。わずかに表紙の取れた新潮文庫と、古本屋も買わない一冊のアンソロジー。あ…

久しぶりの鎌倉

といっても素天堂・絹太のことである。建長寺も明月院もあったものではない。お茶と食事で休憩した以外は、結局古本屋巡りである。 小町通の喧噪を煩わしく思いつつ、足早に通り抜けてまずは「藝林荘」。大きいものは買う気がなかったのでまずは店頭の見切り…

シチリアを征服したクマ王国の物語 ディーノ・ブッツァーティ作・画

天沢退二郎・増山暁子訳 福音館書店1987(原著初版1945) ISBN:4834001423 作者自身による美しいたくさんの挿絵で彩られたこの作品は、荒唐無稽というよりは、人間に対するペーソスと諦観の寓話なのかもしれない。 山から下りて町を占領した、善良なクマたちの…

未来都市の考古学展 1996年 7月24日〜 9月16日 東京都現代美術館 「近代都市と芸術」展と併催された、名企画展。

当時横浜に住んでいた素天堂にとって“江東”の巷は、とてつもなく遠かったものでした。実際には中央区内に長く勤めていたので、川さえ越せば江東区だった訳なのですが、用がなければ地の果てと同じ、ということで、酔狂にも、わざわざ新橋からバスに乗って江…

性懲りもなく

また崩れた。 素天堂は本好きでありながら、蔵書をぞんざいに扱う悪い癖があるので、貴重書(あくまでも自分なりにだが)の箱を踏みつぶして背を壊したり棚から落として角を痛めたりということばかりしている。 今回もあれだけいわれ続けた「段ボール箱を重ね…

よるの夢 うつし世は夢 (江戸川乱歩推理文庫)

新潮社のPR誌「波」の表紙に、作家たちの肉筆で作家たちの愛好する箴言や格言のようなものが掲載されていたことがある。いわば印刷された色紙の体なのだが、ほとんどがいわゆる文士の一家言でおもしろくもないものだったけれども、その中で、自分の趣味丸出…

幽霊になってしまった男の話 asin:B00007CF9J

花は見えないのに、狂おしい香りだけが体をつつみ込んでくるあの不思議な花の薫りが、この2,3日路地裏を歩くと、まとわりついてくるようになった。もうそんな季節なのか。花とはいえ、その天性の酔わせるような薫りを振りまくのみで、種一つ実らせること…

気分は「マッツォラータ」

日本探偵小説全集 第6巻「小栗虫太郎集」塔晶夫解説 1987刊 ISBN:448840006X 「モンテ・クリスト伯」アレクサンドル・デュマ 山内義雄訳 岩波文庫ISBN:4003253310 多分、引っ越しも一段落したからだろうか、10数年ぶりに読み返す気になって、岩波文庫版ア…

異人館巡りin神戸 (Last) aug.22.2005

「兵庫県公館」の庭に回ると、数人の女子中学生が練習帰りの格好でくつろいでいる。この施設の暖かさを感じながらJRの高架下へ向かう。まず中学校の近所の、古本屋さん。文学、美術を中心に上品な品揃え。ゆっくり店内を覗いたときには、まだこれから始ま…

異人館巡りin神戸 (7) aug.22.2005

6回も使ってやっと初日が終わった。実は2日目(大阪編)はもうとっくにレポートが終わっているのです。http://d.hatena.ne.jp/sutendo/20050824 前日の驚異的な戦果を新大阪構内のコインロッカーに置いて今日が最終日。あの禁欲的な小豆色の阪神電車でまず…

モギャーッ、キャッの美学 「びっくり箱殺人事件」横溝正史 角川文庫ISBN:4041304172

今年のMYSCON全体企画でこの作品を取り上げてもらったが、あんまり昔に読んでいてほとんど内容を覚えていない、というのはあんまりなので、それ以来探していたのだけれど、灯台もと暗し、最近引っ越した近所の古本屋さんで見つけた。この作品を最初に読んだ…

異人館巡りin神戸 (6) aug.20.2005

むずむずと残る未練を残して、当日のもう一つの目標「神戸市立博物館」へ向かう。街っ子である絹太氏のリードの元、あっちを曲がり、こっちを下りて奇妙に二段になった大通り(中山手通というらしい)を一挙に喧噪の巷へ。さっきまでの静謐が夢だったみたいで…

異人館巡りin神戸 (5) aug.20.2005

いわゆる明治以降に建てられた近代建築が見直されて、ただふるいだけの不便な建物ではないと認められて、その保存修復が唱えられるようになったのが1970年代の半ば。それまではどこの本屋を覗いても、近代建築、ましてや住宅についての資料などほとんど…

異人館巡りin神戸 (4) aug.20.2005

垢抜けないというより、情けない土産物屋の並ぶ細い坂を下りてバス通りにでる。何軒かの観光客向け公開住宅には食指も動かないが、予想外に内容が豊富で、しかも現役の住宅建築が多いのには驚かされたし、全く予習をしていなかったので、北野の街自体が本当…

異人館巡りin神戸 (3) aug.20.2005

ほとんど風を感じない熱気の中、「風見鶏の家」をはじめとする周りの人混みとは一線を画すように、とはいえそれなりに立て込んではいるのだが、重文「萌黄の家」があった。 広くはないけれども落ち着いた庭に惹かれて入り込んでみると、バルコニーの付け根の…

異人館巡りin神戸 (2) aug.20.2005

北野という南斜面の街を歩くとコロニアルと言う言葉の本質が浮かんでくる。横浜の山手の異人館と中華街はもう少し複雑な地理関係から、これほどはっきりと使用人と従業員の身分の差をあからさまに示してはいない。もっとも古い外国人居留地である長崎の街が…

異人館巡りin神戸 (1) aug.20.2005

絹太氏の計らいで(ゆっくり異人館を徘徊すること)8時過ぎの新幹線に乗る。朝食の駅弁がすんだら寝てしまって、名古屋で一瞬起きた以外はほぼ3時間寝っぱなし。おかげで、元気に北野から居留地一帯の近代建築巡りができました。 「新神戸」をおりて北野方…

この週末

金曜日ちょっと時間ができたので、「黒死館逍遙」をですぺらに持ち込む。牧人さんのMixiオフ会が開かれているのは承知していたが、おとなしくカウンターで比呂さんがきてくれるのを待つつもりだった。はずなのに店に入った瞬間席を空けていただいて、結局割…

刺激的 ということ 私信に代えて

やっと、怒濤のようなイヴェントだらけの8月が終わります。夏コミ初売り、大阪イヴェント参加と阪神建築・古本行脚、そして、念願の一軒家への引っ越し。ほとんど本だけの2屯車三回と家具が一回。それを兄弟四人で運ぶという暴挙も終わりました。ネットも…

ないものを無いと証明すること 黒死館の回り道 カンデルさんへの返信にかえて

「黒死館殺人事件」などという奇妙な代物に取り憑かれて、結構な年月がたってしまった。そのわずかな結実が今回の私家本http://www5.ocn.ne.jp/~k594k/tuhan.htmlなのだけれど、そこで取り上げている以外にも、あまりにも多数の謎が作中に鏤められている。例…

阪神異人館と古本屋巡り旅(1)

絹太君のイヴェント参加の尻馬に乗るつもりが、すっかり、神戸の街と大阪の街の魅力にとりつかれて還ってきました。初日の異人館ルポと、週末には引っ越しだというのに段ボール一箱分の古本収穫については後程詳細。 まずは2日目の「Super Comic City 11 大…

緊急告知!!!

何をとち狂ったのか、大阪へ行きます。しかも委託ですが「黒死館逍遙 第1巻」を持っていくのです。絵葉書付です。 さらに3人の魔女たちの合同誌、一部で評判?の「最後の審判の巨匠」本-「ヨッシュ君の貞操帯」まで持ち込みます。どうか、よろしく。 関西…

動かざる河船“箱船ラルシュ”号、河岸に繋がれたままの冒険

「青い花」レイモン・クノー 滝田文彦訳 筑摩書房 1969 自分を取り巻く現実に対して、あたかも動かない船にまとわりつくゴミを、竿でおし流す位の関与しかしていない一人の主人公と、自ら歴史の流れに敢然と立ち向かい大きな時間を思うさま立ちまわるもう一…