2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

戦争の前とあと そして、ロシアの皇帝とアメリカのセールスマンとウィーンという街

皇帝円舞曲【字幕版】 [VHS] ビリー・ワイルダーの初期のカラー作品「皇帝円舞曲」を絹太氏がとっておいてくれたのをみていて、あ、これは戦争前の傑作オペレッタ「会議は踊る」へのワイルダーなりのオマージュなんだと思った。勿論フランツ・ヨゼフ皇帝がア…

その手に神が宿るとき 神宿る手 (講談社文庫)

息抜き、といっても、いつも息抜きばっかりじゃあないかといわれそうだが、ここのところのちょっと重い読書から離れてみたくなって、この本を手に取った。この作品には殺人もないし、探偵役による謎解きもない。しかし、冒頭の幻のピアニストによる突然のC…

探偵小説年鑑1948

松山さんのお手伝いを始めた頃、虫太郎の娘さんと会える機会ができたと告げられました。別世界のことのように思っていたので、それほど感激もせずにその機会にご一緒することになったのです。いつもいっている通り、虫太郎に関して、伝記的な問題にはあまり…

大戦間のまぼろし 1919-1929 ウソでなければかけない真実 

「屋根の上の牡牛の時代」モーリス・サックス岩崎力訳1994/3リブロポート刊 “繁栄の時代の若いブルジョワの日記”と副題されたこの本を読み終わって、すぐの頃、或る酒場でこの本の話を始めたところ、「ああ、あの本はウソばっかりです」と切り捨てられて、そ…

放蕩でさえ生真面目な!もう一つの英国十七世紀 ロチェスター卿の猿―17世紀英国の放蕩詩人の生涯

英国における“王政復古”という、われわれにとってもう一つわかりにくい事象の代表的な概念のなか、エリザベス朝ルネサンスとヴィクトリア朝の間の長い、世界史的にも低調な、期間に登場した不思議な人物たちに関する評伝。 ペストの荒れ狂う、みのりのない戦…

再訪 夢の百貨店へ 祝 5000pv 突破記念!

新保 博久著 冬樹社1989.8刊吉祥寺、井の頭公園の入り口あたりにこんなお店があったら、冷やかしがてら店内を散歩して、結局思わぬ散財をしてしまうだろう。何とも品揃えの素敵な、夢の百貨店である。「ペットショップ」から、「ハウジングセンター」まで(…

夏コミの準備 

第三号の発行に向けて、すこしずつ、先人の足跡を辿っています。ヴァン・ダインという不思議な存在が、「黒死館殺人事件」という稀有な存在にとって、どんな影響を与えていたのかを具体的にみなさんにお見せできたらと思っています。

翔んでる女の子? ミャアちゃん スクラップ学園 天真爛漫編 (秋田トップコミックス)

所用で外出したJR大宮駅のキヨスクで見かけて、思わず発作的に買ってしまった一冊。最後まで購読していた「ヤング・ユー」も買わなくなって(買っても二ヶ月そのままだったりしたので)、今ほぼ現役で購入しているのは単行本の「パタリロ」だけ、になって…

大戦間のまぼろし 「夜ひらく・夜とざす 縮刷合本」ポオル・モオラン 堀口大学訳 新潮文庫第二期(7)昭和四年一月一日初版/同一月二三日十二刷

四期にわけられる新潮文庫の中で、第三期が戦中まで永らえたのと比べ短命だった大型本シリーズの一冊。一年半で十九冊。その大半は日本現代文学で、海外物はモオラン・大学の「夜…」と「戀の歐羅巴」の二冊のみ。この頃の若い文学への影響を考えるといかにも…