2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

塔の子供とキャプテン・ジャック、そしてさまよえるオランダ人。カミ「エッフェル塔の潜水夫」

感想が書きづらい本というのがある。何度も読み返しているはずだし、その内容だってその再読に耐える名作なのに。 天を摩す、近代パリの象徴、エッフェル塔に出現する謎の潜水夫の必然性。エッフェル塔の貰われっ子「ファンファン・ラ・トゥール」を巡る人々…

至福の時 趣向の宇宙 再説/幻想美術館

会場へ入った途端、目に入ったのがマン・レイによる「空想的サドの肖像」だったので、脇目もふらずにそっちに引き寄せられてしまった。そこに並ぶ、コクトーの写真とかハンス・ベルメールの危険なエッチング類にカウンターを食らう。一瞬の眩暈から立ち直っ…

迷宮入り 澁澤龍彦−幻想美術館 

これがあるという名目で、一時間も早くでてきた昨日の夜、朝一で出発して北浦和で夢の美術館迷宮巡り。ゆったりと300点を超す展示物にさまよい、六〇年に酔いしれる二時間だった。 ロッカールームの怪奇。 ミュージアムショップの脇のガチャガチャで買っ…

乱歩賞受賞作を凌ぐ傑作 倫敦暗殺塔 (祥伝社文庫)

いわゆる〈プレ『十角館』〉時代の素天堂にとっては、ツヅキ・ツツイの二大作家を除いて、読める作家といえば『写楽殺人事件』をはじめとする、乱歩賞受賞作家の中から選ぶくらいの選択肢しかなかった。とはいえそのすべてが、処女作の方向を持ち続けるとは…

奥飛騨郡上巡行

連休に旅をしたいというK氏と、こっちへおいでという岐阜市在住の旧友S氏の企画で、踊りの街〈郡上八幡〉へいってきました。行くからにはきっちり廻りたいというK氏の意向をくんで前日の二十一時過ぎに岐阜入り、宿に迎えに来てくれたS氏の案内で、連休…