2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

非A感覚的足穂遭遇 沈丁花の花の香

猟書癖は、飢餓感から根付く。名前だけ、項目だけが自分の前にあって、それについての本がない。その人の作品がない。本は巷に溢れているのに、なんだか、自分の読みたい本だけがない、感じがする。病理学的にはそんなものだろうが、実際に行動して、町中を…

悪魔も生まれて育つもの シンベリについて

前回書ききれなかったのだが、悪魔といえば、某ロック歌手の自称する通り、万単位の年齢が重ねられていて、その出生については問題にされるようなことはまずない。例えばベールゼブブの出生を気にしたことなどある人があるだろうか。だから、悪魔にも母がい…

スティック乗りについて

勿論ご存じの通り、中国雑伎最高の決め技、一本の箸をたたせてその上を両足で十数回入れ替わる驚異の大業。のことではなく、スティック糊の間違いなのである。高橋信行さんごめんなさい。

西荻初体験 『ガラス玉演戯』から『ファンタシウム層発掘ノートSPECIAL ISSUE』まで

2008年の一月二十日は、特別な日になった。 修羅場で苦悶するK氏を連れだし、夜の会合の前哨戦として、彼女のいった古書店巡りを敢行した。そこでの収穫は、近年にない質の高いもので、冊数はともかくあったらうれしい本をたくさん手にして、幸せな午後を過…

愛すべき惡魔と死 芬蘭の畫家ジムベルグ 加藤朝鳥

茲に掲げた二つの繪、即ち『死の庭園』と『双兒を抱いた哀れな惡魔』とは表象畫派の作品として誰しも面白く感ずるものであらうと信ずる。 シムベルグHugo Simbergの死んだのは千九百十七年であるから、フインランドが新興國として歐州大戰に依って獨立した時…

落ち穂拾いからダイヤ こんなやさしい〈死〉や〈悪魔〉があったろうか

最近手に入った昭和初期の雑誌、『中央美術』合本を手にとり、いつものように眺めていて、こんなエッセイに巡り会った。紹介者加藤朝鳥は、海外探偵小説の初期の紹介者でもあり、西洋思潮の理解者でもあったからご存じの方もあろう。素天堂としては『レオナ…

せっかく買ったんだから、読まずとも開け! ということ 平凡社版『乱歩全集第5巻 孤島の鬼』

新春早々、恒例の松屋銀座古書の市。生まれて初めて(前世も含めて)館内放送の呼び出し、という大恥をかいたのはいいとして(詳細はK氏に暴露されています。この中からリンクを探してください)、久し振りの大盤振舞として平凡社版『乱歩全集 孤島の鬼』を…