2010-01-01から1年間の記事一覧

コミケ79のお礼と通販受付開始のお知らせ。

三十日はお寒い中、多数のお買い上げありがとうございました。 本日より、『黒死館逍遙』新刊、第十二号の通販受付を開始致します。 勿論、在庫のあるバックナンバーは随時受け付け中です。 黒死館古代時計室の通販フォーム、もしくは黒死館徘徊録から価格送…

It's a phisical Mystery Tour 20101226

修羅場の真っ最中、突然K氏から十二月二十六日の予定を訊かれた。勿論入稿作業で目の前は真っ暗だし、入稿後のことまで考えていないから、取りあえず何もないと答えた。じゃあ、その日はミステリー・ツアーだからと応答があって、会話は終わった。 何とか入…

新刊告知『黒死館逍遙 第十二号』

REGENDA NEGRA 漆黒伝説 『黒死館』民俗伝承と偽・聖者伝 前説 一、存疑・真偽未詳の伏魔殿Pandemonium 二、魔術師法王、至福千年を統治する 三、水精nixieはムンメル湖底に遊んでいた 復刻 大正、昭和初期のベアリング・グールド民俗学文献 一、古代の神々…

あなたの持っているのはどっちかな?

『黒死館逍遙』第十二号が届きました。今号はシリーズ最後と言うことで、前説において現在流通している『黒死館本』、創元推理文庫と教養文庫のテキストの比較に踏み込んでいます。 一時期語彙について、「黒死館ネット」で噛み合わない議論が見受けられたこ…

使わなかった口絵と虫本

こんな赤字を山と受けながら、叱咤の嵐と、四校、五校の嵐を浴びながらも、やっと終わった修羅場の中から、こんな裏話を一つ。 古風な左流しのタイトル「ペレアとメラサンド」劇。レフレル教授図案。 とある。読みにくいかもしれないが、メーテルリンクの戯…

修羅場を背負いつつ白い階段を登る

何とか前日、原稿の目処をつけて朝からの出展。前回、完売にも拘わらずまだ、売り上げの目標が定まらずギリギリの持ち込みだったが、二階別室という条件にも拘わらずテーマによってはまたも完売。最後の方のお客様にご迷惑を掛けてしまった。 今回も、号数に…

いつものようにshurabaなのに

今回も、みなさんと会いたくて、第十一回文学フリマ出展します。 残念ですが、今回は小ホールへ島流しとか。 どうか二階まで上ってきてください。ヒッソリとお待ちしています。 大田区産業プラザPiO 大展示ホール・小展示ホール 2010年12月 5日(日) 11:00…

吊り橋では身を乗り出さない / SL旅行記(続)

満腹のまま、星を覗いてよい子は早寝だったから、朝も早々に目が覚めた。食事の時間には早いし寝床で、持ってきた青柳いずみこさんの『音楽と文学の対位法』を開く。先日奥泉の新刊『シューマンの指』を読んだばかりだったから、音楽と文学に対する青柳さん…

身を乗り出して星を見る/SL旅行記

K氏の夏休みに相乗りして、初めてSL列車に乗ってきた。運行回数が少ないので早めに出かけて、ぷらっとこだまのサービスを使い静岡を経由して、大井川鐵道の始発駅金谷へ。今回は素天堂の体調を基準にゆったりしたダイヤ設定のため、ノンビリできた。 金谷に…

神保町・家常茶飯と新刊のお仕事

半年前には夢でしかなかった神保町への日参が、可能となり、ちょっと前なら大声で天使の降臨を謳わなければならないような書が、日々食卓の話題となる。とはいえ、ありふれた本読みにすぎない自分にとっては、やっぱり夢のような状態が続いているのだ。 退勤…

ふしぎなめまい

先日依頼があって、アンケートに協力させて頂いた冊子が手元に届いた。 図説 密室ミステリの迷宮 (洋泉社MOOK) 〈ミステリのプロが選んだ本当にすごい密室アンケート〉と称する、きら星の如く居並ぶ著名の方たちの中に、ヒッソリと無名の暗黒星が潜む。編者…

『シューマンの指』奥泉光

『『吾輩は猫である』殺人事件』以来、時間、空間の拡がりの方に進んでいた奥泉光の世界が、久しぶりに意識の中の世界に戻ってきた。シューマンの指 (100周年書き下ろし)作者: 奥泉光出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/07/23メディア: 単行本購入: 3人 ク…

strategic gay flavor

先日、ご縁あってある方とお話しができた。その方の主宰されている企業のサイトがあまりにも魅力的なので、つい調子に乗って「グラム・ロック」が好きですと口走ってしまった。たしかに、マーク・ボランとT・REXという存在は自分の中で大きな存在ではあるけ…

なんだかカタツムリからだんだんスカイツリーへ

0401 本村橋から錦糸町の向こうに何か建っているようだと、気がついたのは今年に入ってからだ。とは言っても工事用の被覆に覆われた煙突状のものは食欲をそそられなかった。四月に入って、下部の覆いが取れ、骨組みが見えるようになって、天辺のクレーンと手…

ガラパゴスオオオカガメ

道を歩いて、突然あの薫りに包まれると、読み始めた頃の少女マンガのことを思い出す。 連載中の『ポーの一族』から始まった少女マンガへの興味は、拡がるばかりで、又読み始めた少年漫画週刊誌と、創刊の相次ぐ青年誌とともに数え切れないくらいの量になって…

人情話の夜

誕生日のプレゼントに、K氏が用意してくれたのは、なかのZERO大ホール「春風亭小朝 独演会」だった。ご幼少の砌から下々の演目を好み、ラジオから流れる円生の喉をしぼるような独特の発声や、金馬の頭の後から出るような高音を聞いて育ったから、落語は少年…

ちょっ鉄話

四月から、都心部のある地下駅で就業している。各駅のホームや階段を歩き回って作業しているのだが、その時の娯しみが一つある。その路線に乗り入れている京浜急行の車両の発車音である。臙脂とアイヴォリーのツートーン塗装もお気に入りだが、その発車音が…

夢の城 現の事件

このところ、次の新刊に向けて魔界に上る日々を送っている。そんななか既に旧聞に属するけれど、南ドイツの田舎町でこんな事故があった。 澁澤龍彦の『異端の肖像』、川田喜久治の『聖なる世界』1971などで知られた、と言うより現在では某テーマ・パークに聳…

「アンテア」西洋美術館での再会

1980年といえばもう三十年前なのだが、その年の暮れ、上野国立西洋美術館で、「イタリア・ルネッサンス展」と題された、奇跡のような美術展が開催された。美術史上の巨人と、当時やっと再評価され始めたマニエリスムの画家たちで構成された今思えばとんでも…

マニエリスムの時代

先日、ひょんなことでできた時間を使って、銀座へ。まっすぐに向かった先は「プランタン」の先の小さな画廊「スパン・アート・ギャラリー」。故・種村季弘氏の回顧展である。「オマージュ 種村季弘」と題した企画の前半、「マニエリスムと種村季弘」のほとん…

ブロッケン現象in日本

小学生の頃は図書室に入り浸って、人の読まない本を手当たり次第に読んでいた。その頃のお気に入りは、まだ身近だった宝文館からたくさん出ていたNHKラジオドラマのノヴェライズのシリーズと、絵入りの知識本だった。いわゆる『せかいの◎◎をさぐる」という体…

まぼろし二題

夏のコミケが終わって、一息、例年楽しみにしている東急東横店の「古書市」。今年も、例年より件数は絞られたものの、十分すぎる成果だった。日本オリベッティの広報誌『SPAZIO』の創刊から四冊を手始めに、虫太郎が『黒死館』作中で名前を挙げた本が、今の…

クセジュと比較とは!

ここにも書いたけれども、白水社の「文庫クセジュ」は、何かを知りたいと思った時の素天堂にとって、高校時代からの大切なパートナー(偉そうに)だった。そこに手際よく詰め込まれた全ての事象の書き手は、いつでも、素天堂の水先案内をしてくれる大先達の…

総毛立つ臨界量を体験する コミックマーケット78

とにかく暑かった。熱かったと書きたいくらいの熱量であった。そのうえ、某分野での異常な読者の増殖が、八月十四日の東京ビッグサイトを埋め尽くした。彼らは、目標が達成できなかったにしても反撥することなく、お手本にしたいくらい従順だったし、統御す…

コミックマーケット78に出品します

入稿のゴタゴタに紛れて、告知がおくれてしまいましたが、8月14日(土)に参加します。 なんとか『黒死館逍遙 第十一号』が新刊に間に合いました。 黒死館庭園術 または不毛の研究 前説 / 序章 呪咀の淵源 「黒死館」の建築者 ディグスビイ 一、赭土褐砂…

Kokushikan Open Canpus

通勤の車内で見かける大学の告知広告。 この車額を見てドキッとするのは、日本中で素天堂唯一人だと思う。東京近県ではみなさんご存じの、世田谷にある学校なのだが、素天堂が現在の作業を始めて以来、いつも目の前のモニターに現れるのがこの校名だった。オ…

真夜中の『麗猫伝説』

一ヶ月あまりの大格闘。と言っても、実際は自分の中の混沌と錯雑を自分で処理できずに、K氏の必死の舵取りでやっと漕ぎつけた新刊の送稿だった。やっとすんだ開放感から夜更かし。 露西亜・アヴァンギャルド映画の上映会からK氏が持ち帰った「化け猫映画上映…

結論など無いのに気づくまで

散々の叱咤を受けながら、K氏の赤字校正を受け止めつつ、自らの才能のなさに内心涙する。そんな日々の果て、三日後には〆切が待つ。無理矢理こじつけた結論は、やっぱりこじつけでしかなく、バッサリ削られて、やっと責了の日が来た。何とか格好はついたが、…

結論はどこだ?

ネブカドネザルからグリーン家まで、修道院からクラーニー荘まで総動員して新刊「黒死館庭園術」と闘っている。挙げ句の果てにこの号にはつけ加えるべき結論が見つからないのに気がついた。死にものぐるいで「ラパチーニの娘」に辿りついてひとまず、息をつ…

持っているもの?

毎度ながら、書き込みが足りないと猛攻撃を食らう。なまじ、一度格好をつけてしまったものだけに、作品を壊しきれない。自分では書くべきことは書きだしたつもりだから、足りないと言われても、戸惑うばかりだ。それでも何とか、初稿に漕ぎつけたのがやっと…