2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

サライはいない、では血を吸うフランシーヌは

写真があって文が醸されるのか、文によって写真が生まれるのか、全ての作品で文と写真が絡みあう、絶妙のコンビネーション。裁ち落としでページを覆う、醒めたイメージは若干センチメンタルな地の文を切り裂いて、写真が文に阿ることもなく、独自の空気感が…

サライはいない 『ホテル・メランコリア』篠田真由美

某氏邸のかたづけを終えて玄関を開けたら、最近は自粛しているはずの、書籍小包が届いている。 K氏も、「またか」と思ったらしいが、なんとうれしいことに、篠田真由美さんの新刊だった。ホテル・メランコリア作者: 篠田真由美出版社/メーカー: PHP研究所発…

旧約と新約との歴史的な転換点が、サロメの時代だった。

それはわかるが、しかし、歴史劇としてみるなどという必要がこの題材に必要なのか。しかも、最も重要なテーマである「つれなき美女」としてのサロメの残酷さは、影も形もなかった。 母の行状をあげつらい、けなすヨハネを憎み、母の命令で首伐られたヨハネの…

踊る少女に魅せられて サロメ諸相

ご多分に漏れず、その少女に出逢ったのはユイスマンス『さかしま』なのだった。生意気な高校生は、第一回配本だった『大伽藍』で桃源社版「世界異端の文学シリーズ」の存在を知って、それまで高価で入手できなかった『さかしま』を読むことができた。 『大伽…

『ヨカナーン』よ、ヨカナーン。そなたは何故ヨカナーンなのか

Nazimova SALOME 終日、目一杯『サロメ』三昧。ナジモヴァものと『ケン・ラッセルのサロメ』で。 『ダクダク 二号』新刊作業中、古い映画の女優さんが気になった。今回所収の田中香涯の記事中に添えられたものだった。変態女性の見本とされた『サロメ』映画…

妖夢ってなんだ ?

資料以外の読書は、本当に久しぶり。最近は青い鳥の囀りに引きずられて、空き時間をすっかり取られてしまっている。やっとのんびりできる機会ができたからと、枕元の積ん読本から宇能鴻一郎『伯爵令嬢の妖夢』を選んで終日読みふけった。用務から戻ったK氏に…

通販準備ととのいました。

2013年、年も明けて、K氏がお洒落で使いやすいように「古代時計室」リニューアル進行中です。 山ほどのコンテンツに七転八倒中ですが、取りあえず、お約束の通販はアクセス可能ですので、早速左側のリンクボタンから、アクセスしてみて下さい。 新刊は『ダク…

262345の日

昨年は、最後の日記でも書いた通り妙に充実した一年だったが、今年はどうだろうか。先日、西荻盛林堂さんへ伺った折にも、ご主人の出されたミステリアス文庫『アルベール・サマン名訳集成』と偶然持ち込まれた、白水社版のピエール・ルイスの『ビリティスの…