お久しぶりの新刊告知です。「ダクダク4 特集呪術師・護符・迷信」

【新刊】11/23文フリ東京 オ74黒死館附属幻稚園

小栗虫太郎関連資料集ダクダク4 特集呪術師・護符・迷信」A5 116P 800円を頒布します。おなじみ戦前「チバ時報」「科学画報」より復刻、人類の根源的魔術世界をお楽しみください。
今回も、「チバ時報」「科学画報」を二本の柱に充実した内容です。
特に一本目の柱は、28頁の本文と、多数の註釈を配したウォルフガング・ボルン「呪物、肌守および護符」で、人類学における念呪の本格的略史であり、もう一本が法医学の権威古畑種基による「人相と手相の迷信」で、洋の東西の手相学、人相学の基礎と、西洋骨相学の歴史にまで目配せした名論文です。こちらも多くの学者が取り上げられていました。
その多くは医学関係者であり何とか註釈作業もすすめましたが、一件カナ書きでは現綴が掴めない人名が残りました。これは不詳物件で残そうかと思ったのですが取りあえず、もう少し探索してみることにしました。
その姓は「コッチェブユー」、いったい何人なのかどうみても誤植にしか見えないし、ファーストネームもわからず、同時代の医学者にも該当する人名はなかったし。やむを得ず骨相学の創始者ガルの初期からの、詳細な歴史サイトを隅から語彙の照合をすすめました。その初期ツアーの中で、ベルリンでガルを宿泊させた友人に、そう読める姓の人物が表れたのです。Mr. Kotzebueがその綴りですが、記事によると親密な友人とあり、古畑の記述とは相容れないと思われました。そこでヤット見つかった原綴を元に再検索にかかると、当時の進歩派で、若くして暗殺されたある人物にたどり着きました。August Friedrich Ferdinand von Kotzebueです。とはいってもこの人物とガルの接点はなさそうだし、やむを得ず同名のアラスカの町の語彙の嵐を避けるようにgallと合わせてさらに検索を進めました。と“The Organs of the Brain”という英語の笑劇に出会いました。これは調べて見るとが古畑の言う、初期の脳科学を笑った喜劇からの英訳で、原題は“Die Organe des Gehirns”でした。
これがその口絵。
お粗末ですが、こうやって註釈にたどり着くというたどたどしい見本についてでした。