些事片々

国立新美術館シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―」でシュルレアリスムの真髄を実感する。ブルジョア的偽善と常識を、研ぎ澄まされた感覚で組み立てられた冗談でひっくり返す。
麗々しくガラスケースに鎮座する訳の分からないオブジェを見て。
「ふーん、石膏を亜鉛でメッキしたんだ。」
デュシャン『Not a shoe』
タイトルとブロンズ彫刻を何度も見比べ「・・・・、うーん」
マグリットダヴィッドのレカミエ婦人像』
これがダヴィッドの作品
「えっ、これ筆で書いてるの!写真かと思った」
 タンギー『岩の窓のある宮殿』
 
マグリットの、金髪で囲まれたトルソー『陵辱』を見て顔をしかめる女子高校生。
日本で通俗的に好まれているダリ、マグリットが少なく、日本では知名度の低いブローネル、マッソンが多いのがありがたい。当然ながら、そういう作品には余り反応がない。その後、麻布龍土町界隈をノンビリと六本木駅へと向かう。久世光彦描く、乱歩が荷風の立ちションを目撃した「張ホテル」が、本当にありそうな町並みである。

既知との遭遇

K氏が最近、マニアックなプログラムに興味を持って邦画の上映館を覗きにいく。まあ、一ヶ月に一回程度だが、その度に、IK氏と遭遇する。上映後の待ち合わせをしていると、なぜか隣であの細い眼でニコヤカに微笑む〈OJBR〉氏がいてビックリする。一回目は京橋。時間があったので京橋から日本橋を散策。飲み屋のロシアンルーレットコロッケで、辛い物好きの本性を発揮。店員を驚かす。
二回目は神保町。某店のガレージ・セールでK氏と待ち合わせるが、片づけが始まり、手持ち無沙汰で他店を覗きにいっている間に、携帯に電話が。あわてて戻ってみると〈OJBR〉氏と講義仲間のTさん迄、次回を見るという二人と四人でラドリオでお茶。その時の発言、「ライオンで生ビールを飲んで、その後、駒形どぜうで丸鍋を食う。これで宍戸錠のできあがり」。
 三田駅には日々、通行人に踏みつけられる宇宙人がいる。
やっと、書棚が完成。でもこの反対側の足もとでは、まるで地震で崩れたかの様な惨状が未だに続くが、勿論それは地震の所為ではない。