2008-01-01から1年間の記事一覧

黒死館逍遙 第八号 通販開始いたしました

こちらか、こちらへどうぞ。

美しい町? 『棒がいっぽん』高野文子から

自分が小学校から義務教育の時期一杯生活していたのが、某鉄鋼メーカーの社員用の集合住宅、所謂、社宅だった。五十年代後半から六十年代初期の、高度成長期以前のことだ。首都圏とはいえ駅前の小さな暗い商店街と、いくつかの旧軍需工場から転用された工場…

コミック・マーケット75参加

ゆっくり準備が出来たので、今回は余裕で出発。地元からバスで豊洲へ、ゆりかもめに乗ってビッグサイトにはいる。お隣は「探偵小説研究会」。濤岡寿子さんがもうお見えで、準備をしていらっしゃる。すぐに鷹城宏さんも。蔓葉信博さんも、MYSCONでお世話にな…

みんな夢の中 『幻影城の時代完全版』講談社BOX

届いた包みを開いた。おーっ、これは『メタルカラーの時代』か、という造本である。まさかこの大冊を職場に持ち込むわけにも行かず、数日かけて資料編、回顧編に眼を通した。とにかく至れり尽くせりの構成である。本多さんとの宴席での会話通り、売れなけれ…

原初と幻想は似ていて違う 『グラウンド・ツアー』UFO篇

この巻で、「三仏寺投入堂」がリストに上げられているのを見て、大昔のある雑誌を思いだした。それと一緒に、緒に就きかけた自分の作業のことも思いだした。あり得ないはずの架空の建築様式を求めてさまよいだしたあの頃のことだ。 雑誌名は『建築』。身も蓋…

薄いが、重い  『グラウンド・ツアー』藤森照信著

ここで約束したこの本の感想だが、それは、タイトルの2語に尽きる。瀟洒なデザインとなめらかな表紙、縦長のサイズの持ちやすさから思わせる、ガイドブック風の内容の軽さは全くない。中谷編集長による的確な突っ込みと、著者藤森の建築への視点が巧みに、…

刊行記念大宴会  幻影城の時代 完全版 (講談社BOX)作者: 本多正一,講談社BOX出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/12/17メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (28件) を見る

素天堂にとっての歳末二大イヴェント、そのうちの一つ〈『幻影城の時代 完全版』をお迎えする会〉が昨晩、開会された。幸い、勤務が順調に終了し六時前に解放されたので、K氏と最寄り駅で待ち合わせ、池袋へ。 三年前の大騒ぎのせいで、きっちり刻み込まれた…

桑畑の夕陽

どっちみち知っている人は知っていることだが、素天堂の名前は、雄也である。 読みはカツヤである。その命名の件で、ごく一部で本人を差し置いて盛り上がったりしているのだが、それを見た古い友人の東洋医学の権威から、それ以上に豊富な日本史の学識を披瀝…

始原・逸脱・飛翔

素天堂のアンテナでもリンクさせていただいている、編集出版組織体アセテートから予約していた『グラウンド・ツアー』全五巻が届いた。各巻著者藤森照信の撮影した現地写真を巻頭に、アセテートN氏によるロングインタビュー、フィールド・ノートと懇切な注…

『黒死館逍遙』第八号到着   

百ページを超えると、束の厚みが六ミリを超えました。前号から変わった本文用紙のためにそれほど分厚くはなりませんでしたが、それでもなかなかの迫力です。ボリュームはありますが、資料編ということで書価の設定は、七百円です。内容はここでお伝えした通…

そらにくもなんのふしきもなかりけり

前日の大雨が上がって、まるで台風一過のような雲だったので通勤途中の橋上で思わず撮ってしまった。一応ぐるりと撮影したのだが、残念なことにパノラマ写真は出来ませんでした。 ネットのあちこちで、『幻影城の時代 完全版』の話題が出てきています。目次…

あのクマたちが生き返ってきたそうだ。

いつかかこうとおもっていたのだが、日記を書いてきて、何が楽しみといってリンクページを確認するくらい楽しいことはない。自分でも忘れているようなテーマを検索して訪ねてきてくれたり、自分の好きな本のことを探しに来てくれる同好の士に巡り会ったり、…

空を焦がす

大幅に終了時間が早まって明日に予定していた挿絵の編集作業を終えて、心持ちくつろいで夕食についた。かかっていた番組は「世界ふしぎ発見!」レポーターがジェット機でGと無重力を体験している。取材を忘れた地声の悲鳴にちょっと引く。今週のテーマは日常…

疾風怒濤第八号 茶紙との格闘編

季節は秋も終わりを告げ、川端の桜も秋の紅葉を落とした今日この頃、 兎も鴨も見向きもせずにこんな紙と闘ってくれたK氏。たった数ページの前説に頭を抱える素天堂を叱咤しつつ、膨大な茶紙との格闘を終了してくれた。 ほぼ一世紀も前の、粗悪な紙質の雑誌か…

混沌の泥沼から

毎度のことながら誰に頼まれたわけでもない、ここ暫くは、こんなところを(イメージ的には)うろついていたのである。 『酷使観賞用』何度教えても、こう変換されてしまうのは自らの不徳の致す所なのかも知れない『黒死館逍遙』。今回第八号は「引用の妙 医…

六十の手すさび  七悪魔の旅作者: ムヒカ・ライネス,西村英一郎出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/07/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見る

先日。集英社版『世界短篇文学全集6 フランス文学19世紀』を、最初に読んだゴーチェ「死霊の恋」の確認で引っ張り出していたら、巻末の全集内容紹介を眺めていたK氏に、『ラテンアメリカ編』はないのかと聞かれた。一九六三年、この段階では、ラテン・アメ…

久しぶりに、混沌の……

毎日の休憩時間を近隣の公園を漂いつつ、兎や鷺を追い回す日々。 虫太郎の何かを追いかけ始めるとかならず巻き込まれるのが、この世界である。とにかく、何かを書き始めなければならないのだが、取りあえずキーボードに向かい、資料を開いても虫太郎の世界が…

えっ、あの橋が! 素天堂因縁のお岩様

月に一度の通院でのお楽しみと言えば、待合室で普段は読まない雑誌を拾い読み。今回は三年に一度の大祭だった、深川八幡の大特集「散歩の達人」だ。いったこともない地元の〈名店〉の紹介と一緒に、街の歴史が紹介されている。今日は結構診察が混んでいて、…

第八号のお知らせ

前 黒死館逍遙第七号「黒死館妙ゴロジー」は、一部では大好評を頂いたが、実は販売部数はほとんどのびていないのが実情である。 内容は虫太郎の引用と擬引用に関する論考で、「1.稀代の<引用師>虫太郎」「2.<引用>なき<引用>の箱根細工」「3.詩…

おとむじり 劇場の迷子―中村雅楽探偵全集〈4〉 (創元推理文庫)

兄弟に子供が多かったせいで、子供の世話はしつけている。場合によっては普通の旦那さんより世話しなれているかもしれない。なにしろ、怒ったら、そのショックで引き付けを起こした子を、病院まで抱いていった経験まである。だから、幼児が母親に次の子が生…

まさかと思うが

10月 30日 23時 44分。あるオークションが終了した。K氏が発見してくれたのは、前々日の夕刻だった。その時は第一号のみだったはずなのだが、そのすぐ後に第三号が追加されたらしい。古書の値付けなどというもののカラクリを、素人ながら薄々知らないわけで…

残したくないのに……

「ミステリチャンネル」で録画して置いた「探偵講談」を見る。 あの日の前田邸での口演である。熱演する南湖さんの前をチラチラ上下し、話に水を差し続けるうしろあたまの恥ずかしさ。カメラはきらおうとするのに、何故かトリミングに入り込み、南湖さんの絶…

奥山巡り、伝法院巡り

昨日国分寺まで遠出して、最終日の「槿の画家 柳瀬正夢展」を堪能してきたK氏を唆し、連日の外出である。浅草寺の「昭和本堂落慶五十周年 特別展観」。奥山風景再現とはいっても、江川の玉乗りも水族館もないがやむを得まい。それでも出かけたのは、これ。…

ちょっとした違和感から始まる、大げさな感想

昨日、東京創元社から白い事務用封筒が届いた。忘れかけていた『中村雅楽探偵全集』のおまけであった。開けてみたら推理文庫本編と全く同じ造りの装幀がうれしかった。所が表紙がチョット違っているような気がした。素天堂の記憶では例の鍵の部分に濃いグリ…

新潮文庫とはいっても

どんな関係を求めてか、素天堂と吸血鬼を組み合わせたキーワードの検索が現れている。前にも恥をさらした通り、吸血鬼に対する素天堂の興味などは、まこと、通り一遍のものに過ぎない。何にも出てこなくてもご勘弁をと言う所であります。その間に新刊書店な…

ムッシュ・ムニエルの世界

自分の蔵書のほとんどを失った時、そこへ置いてきてしまった世界があった。学研版『たくさんのお月さま』以来集めていた児童書のたぐいもその一部だった。最低限、何としても離れられない身体の一部のようなものだけを、薄くまとわりつく埃のようにして、今…

金木犀と性の妖精

年々注意深くなって、その開花を見逃さずにすむので、休み時間と言えば、金木犀探しに出ていた。最盛期の金木犀は、その濃厚な香りとともに、濃い黄色の粟の実状の集合花がまるで〈花が咲いたみたい〉に見える。そんなとき友人のブログにこんな記事が出てい…

谷根千散歩-勿論一箱付き。

春は根津のツツジ祭だったが、秋は谷中まつりだったそうだ。今回はK氏のやむを得ない事情でお店での参加は出来なかったが、そのK氏のたっての希望で、お客参加することにした。日曜日というのに、普段通りに外出したK氏と小川町で待ち合わせ。新御茶ノ水…

構想力と構成力

mixiから叱られたからではないが、久々に更新する。『幻影城の時代』の増刊についてとか。ネタがないわけではないのだが、何となくご無沙汰していた。まずは木場公園の毎年恒例あの樹の香から。この樹としては大木であろう。この樹の魔力のせいだろうか、mix…

二周目の始まり

去年が最初の周回のゴールだったから、今年は二巡目のスタートになる。先日、いわゆる、大きな宿題を終わらせたが、まだまだこれからの作業が続いてゆく。最近の古書市巡りでも、あの時あったらよかったのにという、何冊かの資料に出逢うことが出来た。舞台…