二周目の始まり

sutendo2008-09-26

去年が最初の周回のゴールだったから、今年は二巡目のスタートになる。先日、いわゆる、大きな宿題を終わらせたが、まだまだこれからの作業が続いてゆく。最近の古書市巡りでも、あの時あったらよかったのにという、何冊かの資料に出逢うことが出来た。舞台演出家を目指した、虫太郎若かりし頃に夢中になったであろうゴードン・クレイグの演劇対話の訳本『ゴルドン・クレイグ著 新劇原論』。著者自身の舞台図が数多く挿入された、小さいけれど新劇初期の重要な資料かと思う。

もう一冊は、黒死館には関係ないけれど、隠れショー・ビズファンの素天堂にとっては貴重品。『舞踊と文化』で、業績は知ってはいたのだが、ポピュラーなレビューの世界にも関わりがあると知らなかった中村秋一の『レヴユウと舞踊』。当時の最先端の造本といい、多量のグラビア口絵といい、題名の通りの舞踊全般に渉る入門書なのだ。ロシアバレエとも関係の深い、英国バレエ界の重鎮、ニネット・ド・ヴァロアの「バレエ論」をはじめとした、海外からの資料の紹介も貴重だが、「我國のレヴユウ」「レヴユウ映画」は最初期の劇場レビューの証言が凄い。

さて、二巡目に廻りこんだ昨日、K氏からのサープライズが届いた。フランドル絵画の、と言うより幻想絵画の父、ヒェロニムス・ボッシュの作品から立体フィギュア化したものだ。何度か、あちこちのミュージアム・ショップでは目についてはいたけれど、買うには贅沢なものだと我慢していたのを、どうやら見抜かれていたらしい。〈椅子に座る悪魔〉も人を食っているが、〈塔を背負った魚〉は、そのちょっと間抜け名表情からして、たしかに素天堂にふさわしいかもしれない。