2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ある絵巻

不思議な絵巻を見たことがある。それは聖者伝でもなく、古典を絵解きした絢爛なものでもなかった。周りを囲む作品群は、〈エロ・グロ・ナンセンス〉の真っ只中、狂騒感さえ感じられる華やかな色彩の乱舞だったのに、そこだけは、淡々として、静かな墨一色の…

堀大司に再会する

この人の名前と初めて遭遇したのは、不思議な全集『世界人生論全集第4巻』サー・トマス・ブラウン『医師の宗教』筑摩書房1964だった。今では復刊さえも望めそうにない全集名だが、抄訳が含まれるにしても、この全集でなければ読めない作品が犇めく、日本で…

単純に騙される快感

K氏に誘われて、東急古書市に行ってきました。勤務先でのアクシデントで、K氏が午前中は出勤したため、予定から大分遅れたものの、二時過ぎには会場に到着。そのまま五時まで三時間。古書の山と格闘してきました。昨年も発狂したのですが、今年はそれに及…

追加お知らせ

前日記事中の新刊を、プヒプヒさんのご厚意で数部お預かりいたします。 シェーアバルトの短編『反乱の力』A6版12ページ中綴じ、シェーアバルトによるイラストが入ります。 通販リストには載せませんので、ご希望の方は通販フォーマット備考欄に書き込んでお…

a Summer in Japan コミックマーケット76

日本の夏である。もう一つの風物東京湾大華火祭は、先週片づき、今週は、コミケ76が夏独り占めであった、と思う。若干寝過ごしはしたが、大過なく入場。今回は、このところお隣が多かった「探偵小説研究会」サークルとも離れ、不思議な空間を醸していた「黒…

久々の午前様

カウンターの中から見るお店はなかなか新鮮だった。どうやら、コミックマーケットへの準備も整ったので、少しでもお手伝いできればと、昨日から出かけている。幸い、懸念したような無駄話の時間もなく、いろいろなウィスキー銘柄の飛び交う、上級者たちの会…

三十年ぶり

大昔バイトで二年ほどカウンターに入っていた。その後、野暮仕事ばかりですっかりその道から外れていた。あそびで幾度かは入ったが、カウンターの中での仕事は久し振り。却って迷惑でなければと思いつつ、結構ドキドキしている。グラスの洗い方か……。六十の…

想い出を引き出すMedium

今更だが、東雅夫さんの近著『怪談文芸ハンドブック』を読むことができた。既にこの本の評価はネット上でも数々あげられており、素天堂の如きが屋上屋を過重ねる愚を犯す必要もないはずだが、どうしても書いておきたいことがある。というのは、この本には素…

伊東忠太に逢う

リハビリと称してほとんど毎日出かけている。月曜日、お使いのお手伝いを兼ねて百人町へ出かけた。自家用車で錦糸町へでて、駅前に置いて総武緩行線に乗るいつものコースのつもりだった。ところが、御用をすませて錦糸町へ戻り、おいしいお昼の後で例のとこ…

出来上がってくれば、可愛い

泣き言を並べながらも、入稿すれば新刊は出来てくる。出来上がってしまえば、それは苦労の結晶である。筆者の能力云々はどこぞに吹き飛んで、レイアウトや差し込んだイラストの上がりに一喜一憂する。何がよかったのか、今回は満載の挿入図版が、欲目かもし…

星から還って

素天堂の〈幻の海外旅行〉に付き添っていてくれたK氏が、しばらくの間、小さな星へ旅していた。何でもパラス星というその星は、フラムスチードの星図には載っていない新しい星だということだ。還って来るなりパラス星の素晴らしさを力説するK氏は、素の理解…

初めてのお使い@百人町

解放された土曜日初日、言いつかったお使いがてら、Bunkamuraでも行ってこようか。起きても間が持てなく、妙に早く家を出る。総武線もまだそれほど込んでいない。大久保の駅から、聞かされていた、高架沿いの細い路地を抜けて、頼まれた御用はテキパキと終わ…