星から還って

素天堂の〈幻の海外旅行〉に付き添っていてくれたK氏が、しばらくの間、小さな星へ旅していた。何でもパラス星というその星は、フラムスチードの星図には載っていない新しい星だということだ。還って来るなりパラス星の素晴らしさを力説するK氏は、素の理解力のなさに辟易して、その星で出会ったことどもを、沢山の不慣れなスケッチで見せてくれた。
  

不慣れとはいっても、星で出会った素敵なもの達の魅力は捨てがたく、一冊のスケッチ帳に残すことにするそうだ。
実をいえば、遙かな昔に、素自身、パラス星に行ったことはあるし、魅力も知っていた。だから、手元にその案内記が残してあるのも当然だった。しかし、試みに薦めた小さなガイドブック『小遊星物語』が、こんなかたちで現れるとは夢にも思っていなかった。数週間の苦闘の結果眼前した、今はなき星への讃歌である。
  

スケッチ帳が出来てきたら、シェーアバルトおじさんの星で知り合ったレザ君や、幼いボン・ビム・バちゃん達と終日お付き合いしたいと思っている。
  
さあ、今日も百人町に、お手伝いにいこう。