伊東忠太に逢う

リハビリと称してほとんど毎日出かけている。月曜日、お使いのお手伝いを兼ねて百人町へ出かけた。自家用車で錦糸町へでて、駅前に置いて総武緩行線に乗るいつものコースのつもりだった。ところが、御用をすませて錦糸町へ戻り、おいしいお昼の後で例のところへ戻ったら、自家用車がない。承知のつもりで高をくくっていた当方がよくないのだが、平日でもあり即日撤去だったのだ。翌日は使う予定もなかったので、引取先を確認して水曜日に指定場所にバスで向かう。駒形橋と両国橋の間。従業員の印象もよく、清澄通を門前仲町の方へ戻ると途中に公園が見えた。一服しようと思ったら、植え込みの間に古い建物の壁が見える。公園の先に見えた奇妙な建物は見覚えがあった。
知識としては知っていたはずの「震災記念堂」だった。

入ろうとした足下に変形した自動車のシャシーらしきものが置かれている。書かれている銘板によると「東京1」、明治屋のボトル型で有名だったあの車の被災した姿だった。

大回りして正面を見ると、小さな怪獣像が四点。どうやら伊東忠太の作品である。中は、冷房の所為ばかりではないヒンヤリとした空気が漂っている。展示は関東大震災の遺品、資料と絵画作品が主で、じんわりと、震災を知識でしか知らない自分に訴えかけてくる。本所、深川という特殊な場所だけに集中した被災者の怨念が伝わってくる。幸いにはしゃぐ子供にも会わず、ゆっくりと展観して表にでると近所の親子が縄跳びをしている。

今にも動いてこちらにきそうな記念堂を振り切るようにして、横網公園をでる。
静かな興奮状態のためか、すぐ後に入ったBOで、大散財するのは別の話だ。