空を焦がす

大幅に終了時間が早まって明日に予定していた挿絵の編集作業を終えて、心持ちくつろいで夕食についた。かかっていた番組は「世界ふしぎ発見!」レポーターがジェット機でGと無重力を体験している。取材を忘れた地声の悲鳴にちょっと引く。今週のテーマは日常化に近づく宇宙に関してだった。お定まりの宇宙センター内のレポートが、宇宙食や宇宙服などいくつか出て和んでいた。「宇宙船が使い廻し出来るなんて」というノンビリしたスプートニク以来の宇宙ファン、素天堂のコメントもでる。
そのうちに、打ち上げの際には必ず同僚の飛行士が完成センターにという所で、あの「アポロ13号」のエピソードを思いだして、まず、グッと来た。限られた宇宙船内の機材から救命のための応急処置に彼らが何をしたかなのだ。そんなエピソードの締めくくりが、スペースシャトルの打ち上げ見学。広い公園の一角に、世界中から集まる宇宙マニアたち。打ち上げ時間が近づき速い夕闇に包まれる。16キロ先の海上ケネディ宇宙センターの灯りが僅かに見える。発射台から小さな光が出た瞬間、レポーターのまたもや取材を忘れた感動の叫び声が出る。
浮かび上がったロケットからの噴煙がカリブの空全面を赤く彩るその瞬間は、確かに、初めて眼に出来た光景だった。数秒後にやっと届いた発射の轟音が、発射台と見学席のある公園との距離をあらためて感じさせる。広い夜空に空を焦がして小さな点になっていくスペース・シャトルの打ち上げロケットの噴炎を見ながら、ちょっと感動してしまった素天堂でありました。