混沌の泥沼から

毎度のことながら誰に頼まれたわけでもない、ここ暫くは、こんなところを(イメージ的には)うろついていたのである。

『酷使観賞用』何度教えても、こう変換されてしまうのは自らの不徳の致す所なのかも知れない『黒死館逍遙』。今回第八号は「引用の妙 医学編」、第二号以来の資料編、雑誌『変態心理』からの復刻第二弾である。大正初期の古い合本一冊に溢れかえる数十の共通語彙にまみれながら、自分のいいたい所まで辿り着くことが出来ない。材料はあっても使いこなせないもどかしさは、年二回の恒例となってしまった。たった数頁の解説が見えてこないままだったが、前回以来癖になったかのようなブレ・ストと、K氏の叱咤のお陰でなんとかでっちあげ、そこから這いだしてきた。
今回お目にかけるのは、超心理学界の大御所〈小熊虎之助〉の初期の論文「自動現象の話」と、哲学者アンリ・ベルグソンの二十世紀初頭に行われた講演原稿「ベルグソンの夢の説」の小熊自身の翻訳。さらに日本医学史上の巨人、富士川游の奇妙な論文「不死の話」。詳細な経歴は不明だが、ただの精神病医だけではなさそうな〈東京山田病院医局千葉医学士 佐多芳久〉による、詳細なジャンヌ・ダルク論「変態心理学上より観たる オルレアンの少女」の四点である。
イメージはこんな感じか?

解説はともかく、資料は一級品である。ご期待頂きたい。