奥山巡り、伝法院巡り

昨日国分寺まで遠出して、最終日の「槿の画家 柳瀬正夢展」を堪能してきたK氏を唆し、連日の外出である。浅草寺の「昭和本堂落慶五十周年 特別展観」。奥山風景再現とはいっても、江川の玉乗りも水族館もないがやむを得まい。それでも出かけたのは、これ。普段門外不出の寺のお宝の類が今月から特別公開されるのだ。そうでなくても混雑する休日の浅草寺巡り、気も重いだろうが、日曜しか休みの取れない素天堂の懇望なのでありました。
自宅近所から礼服の一族に乗っ取られたバスに乗り、雷門に到着。何とあの一族は降りもしない。雷門で降りる人を見て「結構降りる人がいるんだ」とはお言葉である。仲見世の混雑を避けて伝法院まで行くつもりなのだが知ってるようで田舎者の素天堂、なかなか伝法院にたどり着けない。結局仲見世を通って本堂前から伝法院通りを通ろうと思っても、催しの「奥山風景」に遮られて、特別公開「大絵馬寺宝展と庭園拝観」の入り口がなかなか見つからず、本堂脇にやっと案内を見付けたのですが、たどりついてみればヒッソリどころか派手な幟まで立っていました。
大昔、天井を巡る梁にかけられていた絵馬たちに再会出来て大喜びの素天堂でありましたが、お目当ての柴田是真作「茨木」は残念ながら、江戸東京博物館に出張中でありましたが、もう一つの怪奇絵、歌川国芳浅茅が宿一つ夜」は存分に堪能出来ました。下町の商家の商売繁盛をはじめとする、それぞれに願いの込められた絵馬の陳列は、ガラスケース越しでない展示がおこなわれて、美しく化粧された絵馬たちの当時の工芸の粋を尽くした、質感までありありと見える見事な展示でありました。

もう一つの大目玉、伝法院庭園の公開は、展示館を抜けて直接庭園に降りるようになっており、あくまでも寺宝展観とセットと言うことなのでした。パラッと来た雨も降り続くことはなく、意外な名園をゆっくりと堪能出来ました。巡りつつ観賞する風景の移り変わりは絶品でした。

小石川後楽園」も回遊式として有名ですが、雄大さと質の高さは、それを凌いでいるかもしれません。

その後奥山に居並ぶ普段お目にかかれない名店の各所を覗きながら、団子を食べたり焼き栗を買ったりしながら、「花やしき」の方へ抜け、六区は初めてだというK氏にオヤジの聖地「新世界の馬券売り場」を堪能して貰いました。
どこぞで食事でもと探しつつ田原町の角まで来ても、めぼしい店は行列だし、疲れも出てきたので、お茶でもと思った店「マウンテン」の二階が素天堂、普段考えたこともない「お好み焼き」の店で。突然「食べたい」と宣う、K氏に引きずられて、二階へ上がり何年振りかのお好み焼きで、練達のK氏から怒られながら自分で焼いて見ました。腹が納まった素天堂は、何回も乗っていながら行ったことのない「浅草寿町」のバス停を、ウロウロしつつも探しあて、心優しく、憧れの終点から帰宅したのであります。