些事片々

国立新美術館シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―」でシュルレアリスムの真髄を実感する。ブルジョア的偽善と常識を、研ぎ澄まされた感覚で組み立てられた冗談でひっくり返す。
麗々しくガラスケースに鎮座する訳の分からないオブジェを見て。
「ふーん、石膏を亜鉛でメッキしたんだ。」
デュシャン『Not a shoe』
タイトルとブロンズ彫刻を何度も見比べ「・・・・、うーん」
マグリットダヴィッドのレカミエ婦人像』
これがダヴィッドの作品
「えっ、これ筆で書いてるの!写真かと思った」
 タンギー『岩の窓のある宮殿』
 
マグリットの、金髪で囲まれたトルソー『陵辱』を見て顔をしかめる女子高校生。
日本で通俗的に好まれているダリ、マグリットが少なく、日本では知名度の低いブローネル、マッソンが多いのがありがたい。当然ながら、そういう作品には余り反応がない。その後、麻布龍土町界隈をノンビリと六本木駅へと向かう。久世光彦描く、乱歩が荷風の立ちションを目撃した「張ホテル」が、本当にありそうな町並みである。