些事少々 あれからの日々

四週間たって、終わらぬ冬の日々に首都圏でも未だ焦臭い日々が続く。
通勤で使っている都営地下鉄、毎月テーマを決めた沿線情報「ぴっく・あっぷ」の広報ポスターが掲示されている。ついこの間まではよくある「桜情報」だったのだが、まだ来ぬ春に花も咲かぬまま消えていった。
今回は大学の持つ博物館、美術館巡りの情報なのである。東京藝大の附属美術館や、早稲田の演劇博物館など素天堂にとっても馴染みの施設ばかりなのだが、驚いたのはこれ
 
西欧史の最暗黒、画像を探すのさえ苦労した拷問具の画像がなんと駅の構内で公開されているのだ。いい時代なのか、この時代だからなのか。文中に名前はないが、明治大学刑事博物館の逸品「鉄の処女」である。いつもは見流すポスターなのだが、今回は写真まで撮ってしまった。
日々逍遙する神保町古書店街も、この間の地震でそれなりの騒動があったようで、暫くは軒並み臨時休業だったが、やっと平常営業になってきている。聞いた話では倒れて崩れた蔵書を、そのまま古書店に処分する蔵書家が、あの時と同じように首都圏でも、やはり出てきているそうだ。本が買いやすくなるのは、個人的には悪くないにしても、具体的に書名はあげないが、最近通りがかった店頭での値崩れを見かけた時は、嬉しいを通り越して悲しくさえあった。
神保町の天使だって、たまに現れるから素敵なのである。

 神保町 指で隠れた夕陽