濡れ衣だった! 『大阪豆ゴハン』〈幻の六甲ドライブウェイ・エピソード〉削除事件
- 作者: サライイネス
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/02/08
- メディア: 文庫
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ちょっとバタ臭いキャラながら、それぞれが個性的で優しい人物設定だったから、連載中も全エピソード、熟読していた(筈だ)。ワイド版などは何回読み返したか。それが、何故文庫版になってから思い出したのか不明だが、自分の印象に残っていた、あのエピソードが消えていた。何度も読み返した記憶があるようなのでワイド版には、当然、掲載されていると思いこんでいたのである。
お金持ちで、画商の大清水が泥酔して愛車のポルシェに乗り、とっても下品な鼻歌まじりで(どんな歌だったかも覚えている)、六甲ドライブウェイのガードレールで、車の横腹をこすりながら帰宅するという、当時でさえ随分〈アブナイ〉エピソードであったから、文庫版で削除したものだとばっかり思っていた。
あんまり騒ぐものだから、K氏が苦労して、オリジナル版を揃えてくれた。ゼッタイ載っていると思い込んでいたので、安心して確認もしなかったが、立て続けのイヴェントも落ちついたので、一昨日あたりからパラパラめくってみた。
「あれ?あれ?」あのエピソードはどこに行ったのか。早速K氏からは、「夢でも見たんじゃないの」のお言葉を頂戴した。「そんな筈はないよ」と返しはしたが、何度見ても出てこない。作業も早めに片づいたのでこの機会に、版違いの照合を、物好きにもやったら、あら、どういうこと? オリジナルにもそんなエピソードは掲載されてないじゃないですか。エピソードのタイトルも通番もキチンとあってるし。そーか、やっぱり素天堂の思いこみだったのか。それにしても、酔っぱらった大清水のアヤシイ目つきや、翌日ガードレールを点検にいって、ペンキあとを確認するシーンまで覚えている。そこまで、思いこみででっち上げられるものだろうか。
今日やっととどく豆ゴハンの原型『水玉生活』文庫版、その中には、どうなんだろうか。やっぱりあのエピソードは、幻で、思いこみなんだろうか。