先日に続き、K書房へ。

 日本人信徒発見のエピソードで知られるプチジャン師ほど有名ではないが、素天堂にとっては幕末明治における大改変期に重要な役割を担っていたひと、ド・ロ神父の評伝「神父ド・ロの冒険」を注文しておいたものの引取りに。
 店内を一回り、「妖精の輪の中で」井村君江さんの自伝。表紙はリチャード・ドイル(だと思ったら、19世紀の女性画家であった)のカタツムリに乗った妖精。パラッとめくったページの“おかっぱ頭の少女”に釣られてつい。とはいえ、ケルト文化に対していつも水先案内を勤めて下さった著者のゆくたては、なによりありがたい読み物です。
 さらに、中公新書「建築家レオナルド・ダ・ヴィンチ」長尾重武を買い直し。建築家と唱えることによって、言いふるされた“万能”という言葉がはっきりと浮き出てくる名著。それにしても、たった十年前の新書が入手困難というのは……。人に勧めることも出来ない。ほかにも、買い直し本があったが、内緒。
 今回は天気がいいので自由が丘で途中下車。大井町線側から下りて、T書房。某氏お奨めの「きらきらアフロ」本のみ買って出ようとしたら入口近くに懐かしの月刊ペン社版「妖精文庫」が何冊か。ジャン・ロランの「フォカス氏」につい手を出す。ラシルド夫人の「ヴィーナス氏」もあったらいいなぁ。世紀末変態本ばっかりだが。
 踏切を渉って、B堂へ。やっぱり2階。均一本のコーナーで「エロス もう一つの過去」広瀬正、後はこの前買いそびれていた「小酒井不木全集」端本から、探偵エッセイもの4冊。黎明期探偵小説を理論で支えた2名の1人。もう1人は国書刊行会探偵クラブの飛び切りの一品「探偵小説のプロフィル」井上良夫。本格論議は是非この本を読んでからといつも思う。