「冒険者たち」ロベール・アンリコ監督 1967 ASIN:B00006F1UX

アラン・ドロンリノ・ヴァンチュラジョアンナ・シムカス
この美しい三人が繰り広げる挫折と喪失の物語。
NHKBS2で放映されているアラン・ドロン特集の中で素天堂のピカ一だった作品。何回見たかわからないくらいなのに、今でも新鮮だった。エッフェル塔くぐりの曲芸飛行、ドラッグレーサーによる速度記録更新、鉄オブジェ芸術の個展と、それぞれの生涯をかけた魅力的な挑戦が崩れてしまった三人が、もう一つの宝探しに活路を求めようとする。原作・脚色がジョゼ・ジョバンニでもあり、そのストーリーからアクション映画に分類されることが多いが、そのジャンルを超越した作品だと思う。
昔から「突然炎の如く」とか「太陽がいっぱい」、「お熱いのがお好き」とか男二人と女が一人の恋愛トライアングルが好きだったのだが、そう「シラノ・ド・ベルジュラック」もね。その中でも、関係の悲しさが一段と際立った作品だ。宝探しの最中、ほとんど、事故のようにあっけなく死んでしまった女性への二人の思いが、彼女の故郷ブルターニュの寒村への行脚となって後半、結構長いエピソードを形成していて、でもそれがストーリーを阻害することはない。彼女が好きだった海上に浮かぶ(第二次大戦中ナチが基地として使っていた)中世の要塞での銃撃戦で死んでしまうマヌー役のドロンに、リノ・ヴァンチュラのつく嘘はまるで「シラノ」じゃないか。最後に生き残った彼には、彼女の愛さえ残らないのだ。それにしても、アラン・ドロンは腹を撃たれて死ぬのが好きだなぁ。
同じ監督で、名優フィリップ・ノワレロミー・シュナイダーの好演する「追想」という日本での題名はぬるいが、強烈な復讐話があってそれも、主人公の強烈な喪失感が印象的だった。
ここのところ、一部訂正が多くて紛いの更新が続きました。ごらん頂いている皆様、まことに申し訳ありませんでした。そうでなくとも、更新の少ない日記なのに。