〈手〉のいいコイコイじゃあるまいし 〈由比ヶ浜の澁澤さんを真似したわけではないが〉

やっと五校でOKが出たのが送稿日の前日、夕方だった。章によっては四校ですんだが、四光、五光と、これがコイコイなら一財産だったかも知れない。自分のお気に入りのジャンルだったから、キーボードは滑るし、論旨はジャンプを繰り返す。するとしっかり釘が刺される。しらばっくれて、暖簾に腕押し、糠に釘を決め込もうとすると、忍者衣装はお手の物のK氏は、暖簾の代わりに鎖帷子を下げて、腕をくじかせ、糠には水を撒いて、マイナス三〇度の急速冷凍で糠板氷にしてしまい、三分程のぶっとい五寸釘でそこら中ボコボコにされる、体たらくでありました。
まるで真冬のラジエーター・グリルのように、体中穴だらけにされての、『黒死館逍遙 第六号』、写真や挿絵は満載でも、満を持してとは、とっても言えませんが、なにとぞ、ご期待頂きたいものであります。前回好評だった(嘘)口絵に味をしめ、今回も音楽家シリーズであります。