中学生とラスト・ダンス

熱烈とはいえないが、まず、興味を持って視ていた「古畑任三郎シリーズ」。その中学生編だというので、ちょっと覗いてみた。本当は、もうボチボチそんな余裕はないはずなのだが。
背景になる村の後にそびえるあの岩山は当然ギャグだと思っていたら後に出てくる宝探しのエピソードで、重要な鍵となっていた。主人公の任三郎〈中学生〉は、最初はただの女顔の少年だったが、演じているうちに若かりし“古畑”になっていったのは見事。
作品の骨子はホームズものの、あの有名作品のパロディだが、思わぬ味方という意外性が、面白かった。それにしても、耳毛のオーディション!かよ。 
謎を解き、悪人達に囲まれて任三郎達、あわやという危機に、思わぬ味方が登場するシーンが、最強のミステリ映画、ジョゼフ・L・マンキウィッツのオリジナル「探偵SLEUTH」へのオマージュだったのには、ビックリだったが、うれしかった。窓から入るヘッドライトの強烈な光、表に出るとそのヘッドライトの前をうごめく警官達。うーん、その瞬間の原田泰造がよかった。彼等に謎解きをした後、帰り道を行く味方だった人のラストの自転車姿が、後々の古畑=自転車好きの始まりだったのだな。
「バスカービルの犬」を読んでいない向島が苦し紛れに話す、犬の登場する話が、例の「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ」だったりしてくすぐりも充分、二時間を十分に楽しませて頂いた。続いての『ファイナル』もみていなかったので、松嶋菜々子の二役を堪能した。