ネムノキみつけた


都内に越してきて初めて見た時、まるで木をピンク色の蝶が覆っているように見えた。何本もの名前も知らない木は、落ち込んでいた素天堂には夢のような光景だった。その公園も、タイミング悪く何度かの花の時期を逃しているうちに、ネムノキを伐った、ただの遊具公園に姿を変えてしまった。居場所が変わって、墨田の反対側に越した時も、路上に一本残っているのを見付けた。それも冬まで狂い咲いていたのを伐られてしまった。
数ヶ月前から勤務先の状況が変わって、二交代制になり、夕方に奇妙な時間が出来るようになって、周辺を徘徊することが出来るようになった。フッといつのもコースから外れてみた、そんな時、眩しいような花の群れが眼に入った。しばらく振りのネムノキとの再会であった。

地面にはもう花が落ち始めていたから、ギリギリの満開に間に合ったのだ。