暑苦しい花・再び

もう恒例になってしまった七月の虫太郎との戦いも、やっと二十六日の土曜日で終了した。K氏の協力による『黒死館』幻視アンソロジーが頁の半分を占めるものであり、素天堂の考証は、今回の本誌のやっと半分にすぎなかったものの、今まで以上の苦労を強いられたには相違ない。そんな中、いつもいくケーキ屋さんの店先に見た、ノウゼンカズラの花である。時期もそうだし、暑苦しいにちがいないが、やっぱり好きは好き。

で、昨日は、暑いさなかの古本屋巡りを自分のご褒美に、パンツまでぐっしょりの暑さにもめげず、市川方面を攻めてきた。今回の収穫は集英社版の六十年代と八十年代の世界文学全集の傑作から、各一冊ずつ。六十年代ではナサニエル・ウェスト『孤独な娘』収録巻。八十年代は、世界文学全集出版としては最高傑作だったボードレールの詩『悪の華』マイヤーのルネサンス小説『ペスカラの誘惑』ウォルター・ペーター『架空の人物像』収録の四十二巻だった。勿論それほど珍しいものではないにしても、脱稿のご褒美にはふさわしいものでありました。