〈六道の辻〉に迷う


一回迷い込んでしまった、迷路はいつまで果てることもないけれど、その迷路に居心地の良さは格別だ。
新春といっても殊更変わったこともないにしても、傍らに親しい人がいて、話を交わすことに、やっと慣れてきたのは、何とも嬉しいことだ。文字通り、牛歩の如き作業進行だが、積年の遊びについても、少なくとも後退はない。昨年は、大きな節目を、皆様のおかげでつけることができた。今年からは、そのお返しを、作業でしていくことになる。幸いに、水先案内が脇にいてくれるから、その迷路で迷うこともなくすんでいる。『黒死館殺人事件』自体が、〈六道の辻〉の総てを含んでいるから、乱歩の忠言を余所に、その迷路に遊び続けることができる。そうして、今年もいつも通り過ぎてゆく。御慶。