たまには、ここもいいカモメ

三十、三十一、明けて一日と、今年の正月は、例年になくノンビリモード。K氏の提案で、すでに恒例となっている松屋の古書展に自転車で出動する。途中永代橋から新川に入って、旧居近くの隅田川堤で一服。カモメが群がる鳩共を睥睨するように手摺に停まっている。

見上げると中央大橋のリフト部分がボーっと霞んで見える。何かと思ったら、化粧直しの養生だった。天気は最高、日差しもお誂え向き、結局、大撮影大会と相成った。

存分に日差しと熱気を感じて松屋に向かう。先日の京王での古書展が全く手応えがなかったのに引き続き、高級紙モノの多い前半は、全く手ぶらのままっだった。あっという間に精算所を過ぎてからが、金鉄の手応え。古の美術専門誌、曰くありげな背表紙の消えた古い美術書がビッシリ。やっぱり時間がかかるようで、前半と混み具合が違う。量は多くないけれど、結構の買い物ができた。それについては追々紹介することとしよう。
K氏は、たった一冊『美術手帖1961/1』のバックナンバーを握りしめただけで浮かぬ顔をして、会場をあとにした。ところが、休憩のお茶で入ったお店で、戦果を見せ合うと、なんと、その記事中に、真鍋博による、都筑道夫の作品とのコラボレーション作品が入っている。K氏のお目当ては無論それではないのだが、素天堂にとっても大当たりであった。確認したら、都筑の長篇ミステリデビュー作『やぶにらみの時計』発刊と、同時期である。装幀や、挿画などビジュアルを重視する都筑の一面を思い起こさせる、重要な記事なのである。自分の収穫とは別に興奮しながら帰宅し、翌日の外出に向けて、まったりと「桃鉄」三昧で過ごした。三日、四日はそれぞれの〈任務〉に赴くのだが、四日の帰りは、新宿で待ち合わせ、帰宅。
晦日の『ちりとてちん』関連落語の再放送。四日の『エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜』『桂離宮 知られざる月の館』など、久しぶりにノンビリとテレビとつき合えた正月休みでありました。