文学フリマ直前 当日雑感

K氏作成POP
一箱古本市〉盛況の、興奮も冷めぬ本日、京浜蒲田での大イヴェントである。
今を去る四十年位前に、この地図の範囲で一年程暮らし、古本初心者だった素天堂には思い出深い土地である。当時から素天堂の読書生活を支えてくれた梅屋敷の新刊書店〈伊藤書房〉は、既になく、離れたあとでも度々通ったはずの周辺の古本屋さんも、上記リンクの地図から消えている。あの時〈伊藤書房〉の店主から貰った一枚のパンフレットが、自分の今の人生を造ってしまったと言っても過言ではない。『血と薔薇』の創刊予告パンフレットは、後の経済逼迫の際に驚く程の救いになったことは、まだ生々しく記憶にある。
多摩川沿いでの暮らしが長かった自分にとっては、今でもその当時入手した書名を、あのお店であの本、このお店でこの本といえるくらい大田区・川崎は古本集めの金城湯池であった。まだだれも探していない本というのは、見つけてしまえば入手は、容易いかもしれないが、誰も探していないと言うのは市場に出回ってこないと言うことなので、結局は足と時間だけが武器になるのだった。思えば夢のような日々である。
以前書いた渋谷とともに、思い出深いこの土地での初御目見得は感慨深い。売れる売れないは別のこと、何組かお知り合いのグループとともに準備に貴重な休日の一日を使ってくれたK氏共々、楽しい一日にしたい。