嵐を呼ぶ小旅行

退職後の長い夏休みも終わって、二日続きの超ハードな講習も終わって、やっと作業に入って正味三日。終日歩き通しなのだが、歩くのは好きなので苦痛ではない。いろいろな方とお話しできる作業なので、それも悪くない。唯やっぱり、身体は正直だ。夜は足がむくむし、今日は踵が痛かった。K氏の出してくれた塗り薬が効いて、大分楽になったが、当分はそれのお世話になるだろう。
この二日は秋雨前線とかでほぼ終日雨模様である。寒くはないが、預かった書類は濡らせないので気を遣わなければならない。まあ、思ったより順調な滑り出しなので、良しとしようか。長い間、休暇も取れず、時間の自由も利かない業務にいて、精神的に参っていたのは事実だが、その反動で、K氏の心配を余所に、自由時間に遊びまくっている。古本買い、明大での佐藤亜紀さんの講義、松山さんの講義と酒飲み。古い友人の、久しぶりの訪問での大酒。さらに余波をかって、K氏が企画してくれた小旅行である。素天堂が建築好きで何時も行っていた「明治村」へ、ゆっくりと二日間訪れようというのだ。その足で、名古屋に移った「日本表現主義」の大展覧会も同時に片づけようという、近来稀な自分たちにとっては大旅行なのである。
話が出て、半年。K氏の休暇の設定で三ヶ月。やっと来た久しぶりの旅行なのに、数年ぶりの〈猛烈な〉と表現される大型台風が、一緒に遊んでくれるという、なんともありがた迷惑な心遣いなのである。たとえ大風でも、猛雨でも、閉園でなければ絶対に行くというK氏の決意は固い。当然だが天候に関係なく、素天堂にとっては夢の地だ。文字通り「花も嵐も乗り越えて、いくが男の生きる道」なのである。どんな珍道中になるか、今からワクワクしているが、〈愛染かつら〉大旅行、帰宅後のご報告、どうか、ご期待願いたい。