muiredachと検索すれば(再)…… T.W.Rollestonにあたる

前回、記事を書きながら画像検索をしていたら懐かしい画像に行き当たった。戦前の数少ないケルト研究本の一つ『愛蘭神話伝説集』 八住利雄で見かけた挿絵だった。開いてみたらKeltische Mythen en Legendenという本の口絵Koningin Maevであった。但し、英語版からのオランダ語訳だという。そうでなくとも横文字に弱いのに、オランダ語では取っ掛かりさえない。

じゃあというので、著者名T.W. Rollestonから再検索すると、英語版のテキストが浮かんできた。残念ながらtext のみの再録なので、口絵画像の類は省略されている。思いついてさらに書籍で検索すると、amazonで、原版らしきものMyths and Legends of the Celtic Raceが出品されていた。なんとお店に行ったこともある天牛本店である。早速取り寄せてみると1985に復刻されたもので、確かにモノクロだが口絵だけは再録されている。だから、オランダ語訳の元本にはちがいないのだが、一瞥した内容と挿入された図版が、どう見てもエピソード本位だった『愛蘭神話伝説集』 とはちょっと違う気がする。今そのものが手元にないので、あやふやな記憶なのだが、この本はどっちかといえば基本研究のようだ。この「神話伝説大系」ではよくあることだが、複数の原著を訳者が組み合わせて構成したものだったのかも知れない。というわけで、同著者の同じ様な題名の異本に手を出す。これも、ネット検索で注文できた。届いてみると、doverから復刻されている原著から六年後に刊行されたCeltic Myths and Legends with 76Illustrationsだった。ところが案に相違して、これはJ.C. Leyranderの口絵が増補されているだけの、テキスト的には同一の書籍だった。
では、素天堂の記憶はどうだったのか。今月末から、平日公休に変わるので、早速、『愛蘭神話伝説集』 の内容確認のため、同書所蔵の、三庚図書館へ出掛けてこよう。
こうやって、偶然手に入れた画像資料なのだが、なんと、ネット上では掃いて捨てるほどupされていた。結構ポピュラーな作品らしい。前回感想を書いた『綺想宮殺人事件』の重要な要素となるネット検索の手法さえ駆使できれば、(こちらにそれに対応できるだけの知識が必要とされるのだが)まことに夢のような時代なのである。何しろ、気がついて一週間で二冊の資料が手元にそろったし、画像から、こんなサイトも見つけられたのである。