総毛立つ臨界量を体験する コミックマーケット78

とにかく暑かった。熱かったと書きたいくらいの熱量であった。そのうえ、某分野での異常な読者の増殖が、八月十四日の東京ビッグサイトを埋め尽くした。彼らは、目標が達成できなかったにしても反撥することなく、お手本にしたいくらい従順だったし、統御する事務局スタッフも何時も通り、マニュアルに則って作業していた。多分表立ったトラブルもなかったと思う。それにしても、量(マス)というものの持っている、潜在的な恐怖を心底体験する貴重な経験だった。
弱小サークルが、自分たちの存在を小さな声で呟いたとしても、あの強大な従順の塊は一切無視するだろうし、いやそんな呟きさえも彼らには届かないだろうと思わせる怖さがあった。極小と極大という相反する存在物に対する、洗練されたシステムと柔軟な対応という、コミックマーケット事務局の存在がなければ、彼らの意思は崩壊して統御不能に陥っていたかもしれない。
今回は、競合する分野のサークルがほとんど無いジャンル構成の中で悪戦苦闘したが、それでも、量の圧力を乗り越えて数人の読者とお会いできた。売り上げ的には、問題もあったが、つつがなく終了することができた。何より今回残念ながら不参加だった、puhipuhiさんが十一時前には入場して、お買い上げ頂けたのは、そんな事情の中では奇跡的でありました。
終了して、帰還時も花火大会や周辺の祭礼に巻き込まれはしたものの、地元に戻って順調に打ち上げもできました。
この数年、生活のリズムがすっかりコミケ中心で進んでいるのに気づいて、ちょっと自分ながら驚いております。
通販の受付も、順調で、ご常連の方々から沢山の通知を頂けた。いつもありがとうございます。