嬉しい誤算が沢山あって

 「不忍ブックストリート 十二回」出展報告
今回は昨年の失態に懲りて、少し早めに家を出る。さらにアクセスがうまくはまって、早めに大家さんの「信天翁あほうどり」店頭に到着する。
ありがたいことに今回は隣の中華屋さん「深圳」のパラソル付きデスクをお借りできた(これが後になって大きな特典になりました)。
震災の余波で崩れた書棚の整理ということで、現れたダブリ本の処理ということもあって、何時もの多すぎる冊数をさらに超えた分量と内容になってしまっていたので、遠慮なく与えられたスペースを活用させて頂いた。
テキパキとした「信天翁あほうどり」の方々の采配で順調に開店準備を完了して午前十一時開会となりました。日暮里駅から谷中銀座へ向かう最初の展示ということもあって、開始からほぼ終日、来店者は途切れることなく、素天堂、絹山の思惑を大きく裏切る形で次々と買って頂けたのは幸いでした。妙に濃い品揃えになってしまって、お客さんも戸惑われたかもしれませんが、それに負けずに、まさか選んで頂けると思ってもいなかった本たちが買われていくのは、ワクワクする心地でありました。
開店から一時間ほどして曇り空からパラパラ雨が零れはじめ、大急ぎでデスクのパラソルを拡げ、出展者全員が雨宿りしましたが、本降りになる三時頃まで、天候に拘わらずお客様は引きも切らない状態で、殆ど持っていった椅子に座る暇もないくらいでした。印象的だったのは、「とにかく安い、面白い」を連発してくださった女性の方と、今回用意した高価本の中から『ピラネージと古代ローマの壮麗』を選んでくださった方でしたが、何と、その方は昨年も当店の名前を挙げて頂いた「古本屋ツアー・イン・ジャパン」さんだったのです。
この報告を書くべく、開いたネットで早くもアップされていた日記に今回も名前を挙げ、さらに店主とのやりとりまで書いて頂きました。
大雨という、本には可哀想な幕切れになってしまいましたが、大家さんの適切な処理で、雨晒しにすることもなく、店内に移動できました。その上体調を崩した絹山に椅子を貸してくださり、ゆっくりさせて頂いたのもありがたいことでした。終了までの一時間だれることもなく、店内を物色させて頂き、売る時ばかりか、買う時にまで講釈をたれる素天堂を見守ってくださった皆様、本当にありがとうございました。買い物は美学校時代の思い出も含んだレリス『成熟の年齢』とモームのストレートなオカルト小説、新潮社全集版『魔術師』の二冊でした。
店内で残部を梱包し、コンビニに宅配で発送した後、昨年も休んだ甘味処で休憩。電車、バスを乗り継ぎ無事帰宅致しました。