アイガモのお陰で 「ながいき村アイガモオーナーズクラブ」

昨年は手術の時期と重なって参加できなかった、千葉県長生村の「南部アイガモ農法研究会」の収穫祭に参加してきた。アイガモ農法とは、田んぼに繁殖する雑草を押さえるための農薬「除草剤」の代わりに、田んぼにアイガモを放し、食べさせる方法で、無農薬の稲作を実現した農法で、この地区の方々が農法の啓蒙と、都市住民との交流をかねて一枚の田んぼを開放して、アイガモの放鳥と稲刈りの実践をさせてくれる企画の一環である。勿論手入れも刈り取りも会員のお百姓さんがやってくれて、我々賛助会員はわずかな会費を納めれば、先に書いたイヴェントに参加でき、新米と冬には、成育したアイガモの肉を頒けて戴けるというありがたい企画なのである。

収穫祭は、まず村役場にある会場に集合し、役場の方、会員諸氏の挨拶を受けて田んぼに行き、鎌で稲刈りのまねごとをさせて戴く.実際には大型コンバインでその後瞬時に刈り取りは終了し、オーナーは、特典の、サツマイモ掘りと、落花生の収穫をさせてもらう。その際には会員の方が用意したスイカを食べ放題(それがおいしくてついつい食べ過ぎてしまうのだが、それはちょっと我慢した方がいい)の体験。
三々五々の形で会場に戻ると、外で会員の方の婦人会が用意してくれた、冬瓜の味噌汁(これが絶品!)と、ゆで落花生が準備されていてそれを受け取りつつ、休憩兼集合場所に入る。中ではやはり婦人会の方が用意してくれた白米と古代米の二種類のおにぎりと、キムチ、ゴーヤの佃煮、野菜の浅漬けを戴く。スイカを食べ過ぎた子供たちもおいしいご飯と味噌汁に誘われてつい食べてしまうようだ。新米の試食も済み、今年の新米の会員頒布分を受け取って、役員の方々に挨拶して早めだったが、会場を失礼させて戴く。
広い空に広がる雲を堪能しながら乗車駅に向かう途中、こちらに伺う際のもう一つのお楽しみに遭遇することができた。歩道を二人で歩いていると向こうから中学生の女の子が自転車でこちらに向かってくる。数メートルに近づいたところで、彼女は自転車を降りたと思ったら、こちらを向いて、「こんにちは」としっかり挨拶してくれた。こちらも二人で挨拶を返しながら通り過ぎると、彼女はまた自転車に乗って離れていった。通りすがりのすがすがしい挨拶で、美味しかった新米のおにぎりの後味が、また一段と増したのである。背中にしょった五キロの新米の重さを忘れる瞬間だった。にこにこして帰りの電車に乗ったのは当然である。