チョイ古建築神戸逍遙02

三日目、十一日は、やっと朝からK氏と統一行動。今日は目標があった。
 

まず、須磨寺へ向かい、K氏の実家の墓参へ。関東に住む東夷には思いもつかぬ歴史の重みを感じながら境内の墓地へ伺い墓石を掃除、内心の気がかりの一つをここで晴らす。境内の裏から須磨離宮公園を目指すが、どうやら行き止まりの自動車専用道路のようで境内の表へ戻り、池の傍を回り込んで公園に辿り着いた。そこで、K氏の提案で神戸迎賓館須磨離宮旧西尾邸)の外観だけでも撮影と、表通りから駐車場を通り抜ける。後ろから声をかけられて振り向くと制服のポーターだった。

  
 
 
 
写真撮影をお願いすると、本棟に連絡をして頂いて、中から案内の担当の方が登場して、怯む間もなく館内をご案内頂く。外観ももちろんだが、内部の造作も贅を極めた装飾で圧倒される。さらに本館前の日本庭園を勧められ鑑賞する。
 
次回のランチを楽しみに、ウェディング用に設えられた、館内というあり得ない僥倖を反芻しながら、ポーターの肩に声をかけて辞去したのである。
ちょうど次の目標離宮公園と間の四つ角にあったビッグ・ボーイで昼食休憩。一服した後、大通り向かいのなまこ塀に囲まれた木立が見える。そこが須磨離宮公園だという。旧宮家の武庫離宮址を公開した公園だったが、残念ながらK氏が楽しみにしていた主施設のレストラン「花離宮」の展望は、工事中で観ることができなかった。入った瞬間放送で、梅祭イヴェントの、甘酒配布も終わったことが知らされ、寒い冬の公園がもっと寒くなってしまった。咲き始めた梅が却って悲しい公園だった。

帰路は何度か途中下車しながら、沿線の古書店巡り。あこがれの古書つのぶえ(山陽電鉄西代駅)の大収穫に興奮し、つづいて数軒の不猟も忘れる一日だった。
最終日、十二日は舞子ホテルのランチが唯一の目的。十二時まで時間潰しをと思ったものの、公園のあちこちの施設は、休翌日の休業だらけだった。とりあえず駅ビルのジュンク堂で時間を埋めて、さあ、昼になったので、今回のハイライト「舞子ホテル」に向かった。平日にもかかわらず、メイン・ホールは結構埋まっている。

席に案内されて本日のランチを頂く。



食後にK氏の一言で、館内を各室細部の丁寧な案内付きで一巡する。家具調度に至るまで細心の細工が施され、できうる限り、オリジナルに保存しようという意図が感じられる楽しい見学だった。


最後にランチ中に中庭で食事していたヒヨドリ

時間も午後二時近いので、そのままJRで元町まで戻り、一、二軒の古本屋さんを覗き、旧居留地に残るチョイ古建築を観察しながら元町の繁華街からJR三宮駅に到着。
  
朝、コインロッカーに預けた昨日までの収穫を引き出して、JR経由で新大阪へ。ひーこら、自分が集めた本の重さを実感しながら、新幹線へ、そして、東京へ。昨日存分に使い倒していた山陽鉄道の事故を知ったのは、車中の電光掲示板だった。
いつもに増して写真の多い日記になったが、実際にはまだまだご覧に入れたい写真を割愛せざるを得なかった。
それをさせて戴けたのは、それぞれの施設での素晴らしい対応のお陰でもありました。
突然の申し入れにもかかわらずご案内頂いただいた、職員の皆様ありがとうございました。