寝ていた蛙が起きるとき


三月半ばの夏日とやら、寒暖の激しい、妙な陽気が当地の亜熱帯化を告げる頃、別な虫が動きだす。
あの本この本をチラ見しながら、モゾモゾ蠢いていたあの虫だ。「あんなに辛い思いをまたしたいの」ということばを、苦笑いで受けつつ、また、「あんなに辛い思い」をまた繰り返すのか。
提出したレジュメを覗いたK氏が、「今度も膨らみそうだな」とつぶやく。
冒頭の作品は、「地獄」フランソワ・ド・ノーム、別名モンス・デジデリオ
と、上げたとたんの一揺れ。不吉な出だしだ。