Le Reve 夢・幻の本と街

東京急行電鉄 東横線 渋谷駅東急東横店口の改札を出て、東急文化会館へ通ずる連絡橋をわたる。足元は都営バスのターミナル、大昔は都心へ向かう都電の始発停留所だったところ。渋谷は川崎市中部に育った素天堂にとっては、自由が丘に次ぐ都会だった。天井の低い旧「東横百貨店」、宮益坂明治通り交差点近くの映画館「全線座(ロードショウ劇場としては「ヤァ!ヤァ!ヤァ!ビートルズがやってくる A Hard Day’s Nightの最初の邦題」が素天堂の最初で最後の全線座体験だったと思う)」道玄坂入り口の木造3階建て?「大盛堂書店(ポケミスバックナンバーの宝庫、現役の創元社版世界恐怖小説全集を見たのもここだった)」、道玄坂中ほど恋文横丁にあった名前を知らない洋雑誌専門の古本屋。等等。言い出せばきりがないのだけれど、今回は宮益坂上がりきったところの古本屋「正進堂」の思い出。その向かいにあったもう一軒の(246拡幅工事のためだったか早くに店はたたまれたが)とともに、洋古書と和書をならべた、素天堂には不思議な雰囲気の本屋さんだった。

と、ここまで書いて1日置いて、今ここhttp://www1.speednet.ne.jp/~ed-fuji/today.htmlを覗いたら、大盛堂書店閉店のニュースが。それまで、駅前の小さな本屋しか知らなかった素天堂にとって、最初の驚異的大型店舗だった。そこでは、モームの新潮社全集版「魔術師」を買ったり、ポケミス版「黒死館」を見つけたりしたもので、中学生までの素天堂にとって大事な本屋だった。原宿よりに移ってからも、度々通っていたのだったが。時代の流れなのかなあ。ついでにいえば、東急文化会館はもう跡形もなく、始めてのロードショウ劇場としての「パンテオン(「007危機一発」とか「シャレード」とか)」や地下のATGがらみで「ラブド・ワン」をみた帰りのバスの中で、興奮してメモを書いていたことなどを思い出す(エイミー・タナトジェノス、なんて素敵な名前だろう)。学校や仕事をサボっていく素天堂にとっては、渋谷は夢の町だったのである。さらに、東さんのサイトhttp://blog.bk1.co.jp/genyo/では「日本怪奇小説傑作集」の記事が。創元版「世界怪奇小説傑作集」がその原型だとか。あれは大ロマン全集の「怪奇小説集」2冊と、「世界恐怖小説全集」から選んだものだったはずだ。などと書いていたら、正進堂書店のことやゾラ「夢」のことなんか書くスペースがなくなってしまった。