異人館巡りin神戸 (6) aug.20.2005

むずむずと残る未練を残して、当日のもう一つの目標「神戸市立博物館」へ向かう。街っ子である絹太氏のリードの元、あっちを曲がり、こっちを下りて奇妙に二段になった大通り(中山手通というらしい)を一挙に喧噪の巷へ。さっきまでの静謐が夢だったみたいで、途中東京もののあこがれ、神戸ステーキのメッカ「あら皮」さえ素通りしていたらしい。三宮の駅で身軽になって、神戸の中心地へ突撃開始。東京で一度会っている絹太氏の妹さんがこちらでも会ってくれるというので、博物館前で待ち合わせ。お目当ての「ザビエル像」にはお目にかかれなかったものの、お茶をしに偶然入ったお店が、修復された美しい「十五番館」という居留地での重要な建造物であったということにビックリ。三時間にわたる(たった!)北野巡りの疲れをほぐし、大急ぎでの居留地名建築巡り。日比谷、丸の内と横浜海岸通を足したような街をいろいろ指さしてもらいながら、トリオ漫才のような会話が愉しくてあっという間に「南京街」。絹太氏いわく「あっという間に終わっちゃう南京街」だが中身は濃さそう。そこから本日最後の予定、元町→三宮古本や巡りの開始である。
その口開けが元町駅前の路地にある「ちんき堂書店」。彼女たちがいうには漫画が主の“サブカル系”だというのだが、まあ入ることに。で、まず素天堂初日第一回の血風が吹き荒れた。小さな店内のさらに小さな棚に、「素天堂さんいらっしゃい、お待ちしてました」というミナト神戸の歓迎の贈り物が。ポール・モーラン「夜ひらく・夜とざす」合本版の第一期新潮文庫ディドロ「不謹慎な宝石」戦後すぐの単行本(壊れてはいるが、そんなこと何でもない)。さらに「雑誌 牧神終刊号」も…… なんてすごい店だ。
のんびりと物色する二人に、「今年の買い物は終わった」と青ざめて報告する馬鹿な素天堂に、あっけにとられるふたり。これが、三日間にわたる阪神(古本)買い物ツアーの幕開けだったのである。