本と縁 「気球の歴史」と「風船学入門」

    気球の歴史 コットレル 西山浅次朗訳 大陸書房1977
    風船学入門 磯貝浩 松島駿二郎 カラー新書09 平凡社1975
  
月初、久しぶりに絹太氏と古本探訪に出かけた。その最初の店でこの二冊を見かけたので、思わず飛びつきました。素天堂は妙なメカ・マニアで自分ではいっさい運転しないのに、車や飛行機が大好きなのである。特に、黎明期の機械機械したメカニズムが大好きで、例えばタルホなどもそっち方面から入っていったのです。「一千一秒物語」のあとにふれたのが「白鳩の記」でなかったら「作家」のバックナンバーをそろえたりはしなかったかもしれないのです。この二冊も特に考えもなしで、あくまで飛行機関連で昔持っていたのですが、素天堂的には結構重要な本なのでした。

というのも、以前にネット公開したこともある内田善美関係のエッセイ「飛行少年の説」に参考文献として取り上げたものでしたから。例によってその後、処分してしまった本の中にこれらも含まれていたのですが、今回二冊まとめて再入手できたというわけなのです。どちらも図版重視の素敵な本なのですが、特にコットレルの「気球の歴史」は文字通り、オールドタイマーの記事が多く、再入手できてよかったものです。最近つくづく本と縁ということに、思いを致す次第です。
毎度、感傷的な回顧にふける悪い癖なのですが、今回もどっぷり浸かることにしました。こっぱずかしい自作の引用ですが。

 水先案内人ともいうべき飛鳥さんの「時への航海誌」は、書かれなかったからこそ彼らに過去への船出を促したように。
そうして彼らの思いは再び次の世代にうけつがれてゆくのですね。
夢だけでは生きていけないかもしれませんが、現実のしがらみだけでも生きてはいけません。より高く、より遠く、思いの範囲をひろげてゆくこと。これこそ昼見る夢の大いなる効用ではないでしょうか。