届いた! 『たくさんのお月さま』ジェームス・サーバー作今江祥智訳 学研1965/1968

sutendo2007-06-16

定価が三百八十円、安いと思われるかもしれないが、あのころは終日働いて八百円の時代だった。今これを入手するのにマクドナルドのバイト代三時間分。今この水準の装幀で出版されれば当然この値段だろう。
包装を開け、実物を手にした途端、手の先から、スーッと四十年前にタイムスリップした。ここでも書いたけれども、早くから、大人と拘わってきた素天堂にとって、当時の学研の諸シリーズは、いつでも憧れのもう一つの世界であった。たとえば、ハワード・パイルの『銀の腕のオットー』だとか、多分矢川澄子の最初の仕事だっただろうシュトルムの童話『たるの中から生まれた話』等も、当時の宝物であった。同じシリーズの少年向け探偵小説『カイウスもの』や『アガトン・サックスの大冒険』は宝物というより、その当時読むことのできなかった上質のミステリーとして堪能していた。それらの一部はのちの福武文庫に収録されたようだが、やはりオリジナルの装幀こそ、過去への入り口なのだろう。