見学二題

sutendo2008-09-15

このところ、感想の書けるような読書もなくご無沙汰していたこの日記、久しぶりの二連休なのに、朝から生憎の雨模様。予定も考えていたのだが、遠出もし辛いので変更。やむを得ない休日出勤のK氏と傘を差して家を出る。まず、K氏の勤務先へ向かい、江戸川を越す。目的の駅で降りると、地面は濡れているもののもう雨は止んでいる。K氏の勤務先で、彼女の日常作業を見学する。ピペットにシャーレ、真空吸引機(のようなもの)に大きな顕微鏡、ピンクに着色した液体etc. 縁無き衆生にとっては、蛍光灯で明るいけれども、現代の〈魔女の厨〉である。手際よく作業をあれよあれよと終わらせて、そそくさと退館。今日の目的地飯田橋に向かう。
初期の雑誌文化を印刷から考察する「ミリオンセラー誕生へ!−明治・大正の雑誌メディア−」の展示であるはずだった。 JR飯田橋駅から結構な道程を印刷博物館に到着してみると何故か閑散としている。その筈で現在展示準備中だと言うことだ。またもやったか素天堂。日付の見間違えであった。常設展示とロビーには無料で入館可能なので、まずエントランスホール壁面に展示される〈プロローグ展示ゾーン〉で印刷術の歴史を見てから、総合展示室にはいる。入室した瞬間、K氏の目がランランとガラスで囲われた〈印刷工房「印刷の家」〉を食い入るように見つめている。〈造ること〉が大好きなK氏にとっては、まるで夢の城に見えたのであろう。幸いに、展示期間外だった為に、来館者が少なく、全ての展示を素天堂の見当はずれな怪しい説明付きでゆっくり鑑賞出来ました。興奮冷めやらぬK氏はひとまず息抜きして、1Fの〈P&Pギャラリー〉のポップアップ絵本の出来る工程を覗く。見本で置かれた精巧なポップアップ絵本に驚きながら、狂乱のミュージアムショップへと突入した。過去の図録の驚異的な水準に驚き、バックナンバーを開いてはため息をつくK氏。結局大人の分別で二冊のみ購入。素天堂は選びに選んで一冊。
余韻に眼をキラキラさせながら途中、横道の「東京創元社」の社屋など見つつ、食事のあと飯田橋駅前の「B・O」へ。なかなか品揃えの充実した店舗で、ゆっくり店内を見て回り、素天堂は『長崎居留地』の報告書など買い込んだ。さすがに疲れた二人は帰ってお茶だけ飲んでダウン。収穫物の評定を終えるやバッタリ倒れ込んだのであった。持って出た傘は結局地元の駅まで使っただけ、印刷博物館の入り口に忘れそうになったのを、K氏が気づいてくれて何とか持ち帰ったが、本探しの邪魔になっただけだったのである。