ね、眠れない!

勤務の都合で、二転三転し、散々ご迷惑をおかけしたにもかかわらず、Iさんから、早朝、ありがたいメッセージが届いていた。これで退社後、高輪台ギャラリー・オキュルス」へ行ける。十三日の晩は何となく落ち込んでいたが、実際に個人誌のバックナンバーを、お渡し出来そうだと思うと、そんな筈はないのだが、止みそうもない雨の音とともに島崎さんのことなど思いだされて、どうも寝付かれない。
神保町の駐車場の上のオフィスで、ちっとも進行しない、「構造学」の原稿を手にしながら、どうしたものかと思い悩む島崎さんの、あのお顔が浮かんでくる。そうなのだ、あれからもう、三十年が過ぎているのだ。いわば選外であった素天堂にお声をかけて頂いたにもかかわらず、結局中間報告しか出来ない体たらくではあるけれど、少しは形になった「黒死館建築構造学」の欠片をお渡し出来るのが、こんなにうれしいとは。