靴屋の小人さん

Kupfernickel (悪魔の銅)がニッケルNiの語源というのは、先日の日記でもちょっと書いた。Wikiの元素表のお隣、元素記号Coの元素はもっとストレートだ。Wikiの記載から引用すると

コバルトという名称と元素記号は、ドイツ語で地の妖精を意味するコーボルト(Koboldまたはkobalt)に由来する。コバルト鉱物は冶金が困難なため、16世紀頃のドイツでは、コーボルトが坑夫を困らせる為に魔法をかけたものとされていた。

語源になったコボルトは、人間にチョッカイは出すけれど、性格は実はそんなに悪くない、寝ている靴屋の作業場に現れ、朝起きると作りかけの靴が完成していたりする、お馴染みの妖精だ。お礼はミルクでOK。

そんな素敵な妖精が素天堂の自宅でたまに出てきてくれることがある。酔っぱらって寝てしまった素天堂の枕元で、探し掛けの情報を見つけだし、朝起きるとPCにメールが届いていたりするのだ。今回は、一回は拾い出したものの素天堂のうっかりミスで消えてしまった、〈マッケイの地理本〉の原書だった。今回の『黒死館逍遙 地誌特集』で最も重要な位置を占めるデータの筈なのだが、拾い出した元データに誤りがあって、再検索が出来なくなってしまっていたのだった。
当家の妖精〈ミニK〉は、不正確な情報からいつもの技術を駆使して、翌朝にはその原書をシッカリと洗い出してくれていた。勿論、最近話題のGoogleDataを始めとするインターネット上での情報量はおどろくべきもので、ほんの二十年前なら膨大な費用と時間をかけなければならなかった、古書の書影や内容を居ながらにして参照できるとはいえ、それを使いこなすにはやはり高度な技術が必要となる。見つけて貰ったそのページが、まさに日本で翻刻されて『輿地誌略』となったであろう画像を参照しながら、ちょっと感動している。
当家の妖精はミルクがお嫌いなので、お礼は小さなケーキにしておく。