Time out かOut of Timeか

いつか書こうと思っていたこの本“Out of Time”。オールド・タイム空想科学小説での挿絵による〈未来デザイン集〉。宇宙船やロケット、未来自動車のデザインなど、妙に微笑ましい。今最も売れている車、トヨタプリウスの原案は素天堂、一目見て分かった。手塚治虫デザインの『鉄腕アトム』登場のわんわんと鳴るサイレンのパトロールカーなのである。わざと絵は出しませんが、プリウスガルウィングドアがついたら、中村警部の乗る〈あれ〉に間違いないでしょう。手塚パトカーで検索すればちゃんとでてくる。寸詰まりの流線型はノスタルジックな郷愁をそそるものがある。二十世紀前半の未来観がうれしい一冊。勿論素天堂好みの建築も含まれている。

東京現代美術館で「1996年に開催された「未来都市の考古学」展が、正面から〈建築の時代離れ〉をとらえていたのに対して、未来派や表現派ともちょっとと違ったエンターテインメントの側からの視点で捉えた楽しい本。
何を今更な、こんな逃避に走るのは、実は満を持すつもりで始めた最新刊、『黒死館逍遙 第九号』、遊びが過ぎて〈時間切れ〉になってしまったのであります。勿論新刊の発売はありますが、発行人の意図とはかけ離れた出来になってしまったのであります。折角の小人さんの協力もむなしく、地誌辞典は大幅な項目減となってしまいました。Dave Brubeck じゃあるまいしの、〈Time Out〉の由縁であります。チャラッチャラ、チャッチャッ。