0930  附記

多分、一生に一度の機会だと思う。
新築(といっても、今年でもう七年目だそうだ。)の「丸ビル」オフィスエリアへの入場が許された。最上階に近い高層部から外を見る貴重な機会だった。上記の、最後に残っていたはずの二件のうちの一つ、東京駅を見下ろした。なんと、東西の屋根が壊され、丸の内南口は外壁まで養生で覆われていた。向かい合わせの中央郵便局も、バスターミナル前のポストに投函しようといってみたら、学生時代に出入りしていた車両出口から本体の作業部が取り壊され、正面エントランスだけが最中の皮のように薄く残されていた。東京駅は辰野金吾のオリジナルに復元されるのだろうが、中央局はどんな用途に変更されるのだろうか。青山の電信局、横浜の港局、失われた近代遺産に続いて、機能優先、経済優先の論理が、とうとうここまで来たのか。