練れない、枯れない正しい姿勢

かかっていたからと、「ぴったんこカンカン」をみる。映画「アウトレイジ」のプロモーションの一環らしい。北野武のヴァイオレンスが苦手で、彼の作品は予告編以外一本も見たことがない。しかし、ビートたけしならツー・ビート時代のNHKに出られなかった、テレビデビューからの付き合いである。ぶっ切れたギャグ感覚が好きなのは今でも変わらない。だから、レジヨン・ドヌール勲章だのポンピドー美術館での作品展だの、無理矢理あっちの世界に引きづり込まれている、ニュース・ネタの彼を見るのが、ちょっと辛かった。
安住伸一郎という、稀有のニュートラル・キャラクターを相手に、白金・八芳園のエントランスで繰り広げられる、百姓姿の肥タゴ水掛けとシルクのタキシードの落差。一転、白のロールス・ロイスで訪れた六本木「ドンキホーテ」での店長役、高田純次のコスプレと汚いケツ(褒め言葉)を堪能する。続いて著名な占い師、「銀座の母」のコーナーでは、相棒のきよしと共演。ハイになった占いのお母さんに殴られまくる、困った顔もいい。
最後のコーナーで現・林家正蔵宅を、どうもアポなし訪問ということだが、あの時間に正蔵、三平が二人在宅するというのは偶然に過ぎるのではないか。まあ、それはいいとして、弟君の三平襲名披露の祝辞の放映と、それを巡る海老名家の反応が素敵だった。例えば、誰とはいわないが、彼くらいの位置に立った人物なら、最後のエピソードを感動的なお涙頂戴で終わらせることも可能だったはず、あの祝辞で締めくくらせた演出も含めて、久しぶりに、うれしい番組をみた。