ブロッケン現象in日本

小学生の頃は図書室に入り浸って、人の読まない本を手当たり次第に読んでいた。その頃のお気に入りは、まだ身近だった宝文館からたくさん出ていたNHKラジオドラマのノヴェライズのシリーズと、絵入りの知識本だった。いわゆる『せかいの◎◎をさぐる」という体のヴィジュアル探訪本である。例えば現在では使われていない「土人」の風俗とか珍奇な動植物、世界中の奇現象巡り等々。そんな中で印象に残っていたのが極楽鳥(風鳥)の姿態と、ドイツの山で起きる奇現象、「ブロッケンの妖怪」だった。おどろおどろしい雲海を下に見て、背後の日光に照らされてその雲に映る山頂の十字架と、そこに蠢く巨人像を神々しい円光が囲む印象的な絵だった。勿論そんなことは普通の大人になってすっかり忘れていたのだが、昨日の『なにこれ珍百景』で、思いがけずその実際の現象を見ることができた。思わず「ブロッケンの妖怪だっ」と一人で叫んでしまったのは、何ともはやであるが、潜んでいた小学生の頃の記憶が立ち上がってきたのだった。ブロッケン山といえば、ハルツ山塊の主峰であの「ヴァルプルギス・ナハト」の舞台であり、重要な虫用語なのだが、まさか、それに由来する事象をTV放映で眼にできるとは思わなかった。奥只見の町を流れる川面の霧がスクリーンになってそれが起きることがあるのだそうだ。
そんな幻をTVモニターで見ている現在だが、前回書いた、「まぼろし」が、二件とも現実に変わりつつある。一件は、まだ未公開らしいので詳述は避けるが、『逍遙』参考書は無事、二冊とも届いた。その内容については追々感想を書きたい。これで、最終刊の形が見えてきているが、まだその前にやらなければならない項目があったのを思い出した。