夢の城 現の事件

このところ、次の新刊に向けて魔界に上る日々を送っている。そんななか既に旧聞に属するけれど、南ドイツの田舎町でこんな事故があった。
澁澤龍彦の『異端の肖像』、川田喜久治の『聖なる世界』1971などで知られた、と言うより現在では某テーマ・パークに聳えるシンデレラ城のモデルとして有名になってしまったバヴァリアノイシュヴァンシュタイン城。呼び名も恥ずかしい、「ロマンチック街道」の終点でもある。狂王ルドウィヒ二世の城狂いの果てに建造された、「夢の城」に相応しい、ウェディング・ケーキの上にのったマジパンのミニチュアのような形姿が好まれて、バルセロナのザグラダ・ファミリア教会とならぶ、日本人観光客の聖地である。
そんな夢の城で、夢にも思わなかった恐怖を味わってしまったというわけだ。バックするバスを目前にしながら逃げることもできなかったらしい。まことに悲惨な事故だった。