新規追加情報二件

新刊『黒死館逍遙 REGENDA NEGRA 漆黒伝説 『黒死館』民俗伝承と偽・聖者伝』の内容について貴重な情報を頂いたのでご紹介致します。まず、愛読者のIさんからの情報です。検索作業のお手本のような作業ですので、情報部分のみ原文通り引用させていただきます。

p24(SML393, KYL211)にあるドルムドルフの『死仮死及び早期の埋葬』ですが、ドイツ語でそれらしい単語を並べて検索しましたところ、引っかかったのがこのページです。
 文献一覧だと思うのですが、そこにある Donndorf 著の書物がそれではないかということで、更に探しましたら Google ブックスで見つかりました。
著者は Johann August Donndorf、ドルムドルフでなく「ドンドルフ」でした。
書名は Über Tod, Scheintod und frühe Beerdigung 発行が 1820年、1823年、そして1828年と少なくとも三版あるようです。残念乍ら本文プレビューは不可となっていましたので、内容を確かめることはできませんでした。

こちらの人名も、虫太郎流の転記ミスが窺える見本といえましょう。

今号で紹介したシルヴェスター二世についての引用文中、フォションからの引用にラヴェンナの異端ヴィルガールという人物が取り上げられています。それについて、ローマ在住のOさんから以下の情報を頂きました。こちらも直接参照が可能なので、お許しを頂いた上で原文通り掲載します。

伊語ではVilgardo da Ravennaと表記されてますね。
ヤフーで結構引っかかりますが(そのなかにある羅語表記はVilgardusでしょうか)、みなロドルフォ・イル・ガルボの『千年紀年代記』の短い記述に拠っているようで、あまりそれを出るものはないようです。その第二書パーレン22−23ということでしょうか。
まさか小栗が手にしたとは思われないけど、
Domenico Bernino, Historia di tutte l’heresie, Venezia 1717, tom.III, sec.XI,cap.I, pp2-7.
シルヴェストル二世の項でちょいと扱っています。
いずれにせよ、ギリシャ古典の読みすぎで(?)キリスト教をおろそかにした文法学者が悪魔と契約を結んだとされたおはなしのようで、フォションが書いているママです。

ということで、生憎ウイチグスとの関連は見られませんでしたが、ないことを発見するのも作業の一つでもあります。Oさんは、『ヘルモゲネスを探して錬金術書を読む』の管理者で、ご本人の訳されたArturo Graf, La leggenda di un pontefice (Silvestro II)を今回資料というより引き写しに近い状態での使用をご許可いただきました。ゲルベルトと音楽の関係を考察した「音楽魔術 musica magica」、さらに今回は本邦初と言ってもいい、「ゲルヴェルトゥス詳伝」を紹介してくださっています。
斯様な情報こそが素天堂の血となり肉となっております。皆様挙って、新情報お知らせ下さいませ。心よりお待ち致しております。