神保町の底力、南部の底力

昨年の暮れM倫館で買った足穂本、梶島二郎著『非ゆうくりっど幾何學』、足穂の題材のなかでも最も縁遠い、数学分野での資料。気の利いた感想どころか、何處に何が書いてあるかさえ覚束ない体たらくでいたら、今年になって、同店の店頭にまたもや同じ本が出現したのである。100年も前の数学書など、買い手などあるものかと我が身も省みず嘯いていたのだが、数日後に棚を覗いてみたら、見事に消えていた。棚の流れのようなものは何とか見当がつくから、まさか、店内に引っ込めたわけではないだろう。さすが神保町、古本の天使は自分にばかり愛想を振り舞いているわけではなそうだ。
そういえば、武石浩玻著『飛行機全書』がひょんな事でわが手に飛び込んできたことがあったが、先日の五反田「南部古書会館」で、足穂が通った蒲田の日本飛行学校が出版した滑川昌章著『最新飛行学原論』が手に入った。ムレもあり、修理が必要な状態だが、日本航空史での重要な根本資料の一つだろう。修理が終わったらみなさんに見て頂こうと思う。